小説『NHKにようこそ!』またまた増刷! “Welcome to the NHK!” got reprinted again and again!

漫画版『NHKにようこそ!』はリバイバル連載され、原作者の滝本はアニメの山本監督たちと長野の山奥にバーベーキューに出かけ、小説版『NHKにようこそ!』にはまたまた増刷がかかった今日このごろ、皆さまいかがおすごしでしょうか?

これまで『NHKにようこそ!』について、地球のあらゆる地域の、さまざまな人種、年齢、性別の読者の皆さんから沢山の感想のメッセージをいただいてきました。

この物語を観て、読んで、『こんな風に生き、こんなことを考え、感じているのは自分だけではなかった』と知り、それによって孤独感が薄らぎ、自分の人生にプラスの変化を得たというメッセージを、世界中の多くの方が私に送ってくれました。

そんな風に、この物語が皆さんのお役に立てたのは本当にありがたく嬉しいことです。

これからも、この物語がいろいろな形で、多くの人々のお役に立っていくことを願っています!

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『ネガティブハッピー・チェーンソーエッヂ』増刷!

ネガティブハッピー・チェーンソーエッヂば滝本竜彦の処女作です。二百パーセントの全力で書いた記憶が昨日のことのように思い出せます。

市原隼人さん、関めぐみさん、浅利陽介さん、三浦春馬さん、野波麻帆さん、板尾創路さんという凄いキャストで実写映画化もされました。

映画を観返すたびに、作品に詰まっている青春のキラキラ感や魂の燃焼感に、胸が熱くなります。

山本、能登、渡辺が演奏する『根性なし』という作中歌や、Greeeenが歌う主題歌の『Be Free』を聴くたびに気持ちが高揚します。

素晴らしい最高の作品を作っていただいた映画スタッフと俳優のみなさんに心から感謝します。ありがとうございました。

2001年に初版が出版されたので、17年前の作品ということになるわけですが、いまだに読まれ続けていることに驚きと嬉しさで一杯です。

読者のみなさん、本当にありがとうございました。みなさんのおかげで僕の人生があります。

YUI MAKINO CONCERRT LIVE 『WILL you Play with me?』最高でした!

6月9日、私は牧野由衣さんのライブを観に渋谷に行きました。

ライブ当日、私は朝から夕方までテレビ関係の仕事があり、渋谷に着いたのは開演二十分前でした。

渋谷の坂道を駆け上がると、前方に立派なイベントホールが見えてきました。今日のライブの会場である、アイア2.5シアターです。

自席に着くと隣の席にアニメ『NHKにようこそ!』の山本祐介監督がいました。スモークが立ちこめる会場で山本監督と世間話しながら開演を待ちます。

牧野由衣さんは多くのアニメに出演している有名声優です。私が原作のアニメ『NHKにようこそ!』のヒロイン、中原岬の声もしてくださっています。また長年、音楽活動を続けて高い評価を受けているアーティストでもあります。そのどちらの側面についてもファンである私としては、これからどんなライブが始まるのか、ワクワクがとまりません。

ワクワク感はステージに牧野さんが現れ、夢を追いかける人への応援ソング『song for you』を歌い始めたところから、ライブの最後まで高まり続けました。(数日が経過した今もまだ、ライブのワクワク感が残っています)

What A Beautiful World

ライブの中盤、『What A Beautiful World』のピアノ弾き語りがありました。ただでさえ超絶名曲であるものが、牧野さんの生演奏によって昇天感がましましになっており、意識がもうろうとするレベルの深い感動を味わいました。

その後、ピアニストしても活躍されている牧野さんと、ご友人のピアニストによるピアノ連弾が行われました。お二人の息のあったラフマニノフのピアノ協奏曲は未来的な響きがあり、ピアノが先進的な未来の楽器に感じられました。その一方で、ここでクラシック音楽が奏でられたことにより、このライブに過去と未来がぎゅっと詰め込まれたような、時間を超えたフィーリングが生じるのを感じました。

もどかしい世界の上で

この日のライブではアニメ『NHKにようこそ!』の後期エンディングテーマである、『もどかしい世界の上で』が歌われました。

原作者であるということを差し置いても『NHKにようこそ!』は素晴らしいアニメで、観るたびにひとつの大きな旅をするような発見と感動があります。

そのエンディングテーマ『もどかしい世界の上で』には、未知な世界、未知な他人を前にして、恐れながらも自分の心を開こうとする瞬間のためらいとときめきが、美しくパッケージングされています。その繊細な決意を励ますかのような生演奏のギターソロが、力強く会場に響いていました。

ダンサー&EDM

後半、肉感的な魅力を発する二人のダンサーがステージに現れ、最新のEDMと共に、観客に起立&手拍子を要求しました。これ以降、ライブはスタンディングパートとなり、最後の曲のハウリングまで、会場の一体感は高まり続けました。

牧野さんの声には天国的な気持ちよさがあり、一方でダンサーのダンスには肉体的な魅力があり、その両者のパフォーマンスによって、このライブにおける精神性と物質性のバランスが高いレベルで両立されたように感じました。

クラシックとEDM、水晶のような歌声と肉感的なダンス、そういった相反するものが一つのライブの中でハーモニーを奏で、未知の感動を強く生み出していました。

ライブの最終曲、ハウリングの中では、その未知の感動が客席の皆に、そして世界に広がっていくようでした。

作り上げたこの共鳴を

少しずつ大きくしていこう

確かな想いは

世界を強く揺らす

日常生活の中に埋没するとき、こういう崇高な気持ちは忘れてしまいがちなものです。ですが、そんなときも、この日のライブのことを思い出せば、またすぐ前向きな気持ちに戻れそうです。

自分でも何かを表現したくなるパワーが観客の私にもチャージされるような、素晴らしい最高のライブでした。

ありがとうございました。

富良野ラベンダーティー

ライブのあと、本ライブのスポンサーであるポッカサッポロの富良野ラベンダーティーが来場者に配られました。飲むとほっとするラベンダーの香りが素敵なお茶でした。

ポッカサッポロの富良野ラベンダーティー、Amazonに注文して飲みまくりたいと思います。

Cosmic Autumn Festival

とある冬の夜のこと。

海猫沢めろんさんにアナログゲーム大会に誘われた私は、会場であるめろんさん宅に向かった。

めろんさん宅は真っ暗で誰もいなかった。しばらくして外から帰ってきたきためろんさんは「間違えた。ゲーム大会は明日だった。今日はこれから高田馬場に行く」と言った。

小説家でありYouTuberであるめろんさんは、RAMCLEARというゲーム創作集団でアナログゲームも作っている。

めろんさんとRAMCLEARのもう一人のメンバーであるツムキ・キョウ氏は、RAMCLEARの新作アナログゲーム『ヘルトウクン』の宣伝に関する打ち合わせのため、これから高田馬場のゲームセンター・ミカドに行くとのことだった。なんとなく私も同行することになった。まもなく高田馬場に着いた。

RAMCLEARの二人を追ってゲームセンターのスタッフルームに入ると、中にはミカドの代表の方と、大塚ギチさんがいた。私は驚いた。

大塚ギチさんと言えば舞台化もされた伝説的ゲーム文学、TOKYOHEADの著者であり、私の初期作品のデザインをしてくださったデザイナーである。
ともすれば暗い重いオーラを発しがちな私の作品に、ポップなメジャー感が付与されたのはギチさんのデザインのおかげである。

ギチさんとお会いするのはずいぶん久しぶりだったが、前に見たときと同じようにおしゃれでかっこよかった。

その夜の帰り道、高田馬場の改札前で私は高石宏輔さんと出会った。高石さんと面識のあっためろんさんが、偶然に通りかかった彼を見つけて声をかけたのである。

高石さんは「声をかける」という、コミュニケーションをテーマにした本の著者である。その本には彼の経験が格調高い精緻な筆致で描かれている。それは暗い深海の底に耐圧カメラが降りていき、通常では見ることのできない闇の奥をくっきりと映し出し、読者の眼前に届けてくれるような本である。高石さんとお会いするのは初めてだったが、彼のことは前々から風の噂に聞いていて、問題意識の持ち方やそれに関するアプローチの方法などに、そこはかとない親近感を感じていた。またミカドのスタッフルームでも、高石さんの名前が皆の会話の中に出てきたばかりであった。

謎のシンクロニシティが生じつつあるのを感じた私は、その流れに乗ろうとして電車の中で高石さんをゲーム大会に誘った。翌日、めろんさん宅で行われたゲーム大会で私は高石さんや他の大勢の参加者たちと、ゲーム『ヘルトウクン』で対戦した。

その大会で私は優勝し、記念品としてヘルトウクンをゲットした。

数週間後、めろんさんと高石さんと私は、渋谷のDOMMUNEでコミュニケーションに関するトークライブをしていた。

私はその放送中、最近作っている自作の音楽、その中でも特に気に入っている、『Cosmic Autumn Festival(邦題:銀河の秋祭り)』という曲を、トークの合間にかけた。DOMMUNEの素晴らしい再生設備から響く解像度の高いキックの周波数が私の心と体を震わせた。

この曲は、とある山村のお祭り広場に宇宙船が降りてきて、地元民と宇宙人が皆でパーティをするというコンセプトのダンスミュージックである。

DOMMUNEは大好きな音楽家である小室哲哉氏がライブをした空間であり、多くの先進的なミュージシャンやDJが日々、最高の音楽をプレイしている場だ。そこで自作のダンスミュージックを再生できた私は、『クラブ的な場で自作曲をかける』というつい先日願ったばかりの夢が速やかに叶ったことを知った。

大勢のリスナーの前で、自作の音楽をかけつつ、コミュニケーションについてのトークを行った。トークの合間には高石さんの催眠セッションが行われ、そのあとで私も誘導瞑想セッションを行った。(瞑想は私が新作小説を書くために身に着けたスキルのひとつである。それに関するコンテンツは今後もこちらのホームページにアップしていくつもりである)

嬉しいことやわくわくすることが凝縮された、夢のような一連の流れであった。この意味深い夢のような新鮮な感覚を、小説を通して表現していきたい。

電遊奇譚がコズミック怖面白い

モンゴル料理店で安倍吉俊さんのイラストを観る

御徒町で海猫沢めろんさんと多彩な羊肉料理を食べたという話を前々回の記事で書きました。

そのモンゴル料理店での食事会には、めろんさんの他にも作家さんや、角川で私の担当をしてくださっている編集者さんがいました。

その席で私は謎の羊肉料理を食べながら、つい最近、初めて観て大好きになった「けいおん!」の話や、平沢唯さんに憧れて自分もギターを買ったという話をしました。

また、本文に関する作業をほぼ終えた私の新作長編小説のイラストやデザインについて、斜め前に座っている担当編集者さんに自分のアイデアを伝えたりもしました。

私の正面で謎の羊肉料理を食べている作家さんは本を出版したばかりとのことで、しかも各方面で話題とのことでした。縁起のいい出版エネルギーがその席に満ちているのを感じました。

その作家さんは藤田祥平さんという方で、めろんさんとは前から友達のようです。かつてめろんさんが藤田さんのことを「すごい才能の持ち主。ソシャゲーで例えればSRクラス」と評していたのを私は思い出しました。

出版したばかりの藤田さんの新刊はその席にいた私以外の全員が読んでいるようで、話題に取り残されるのを恐れた私はテーブルの下でiPhoneでその作品を検索しました。

すると画面に出てきたのがこちらの本になります。

なんだか凄く引き込まれる表紙。

本屋に置かれているのを見たら、きっと気になって手にとりたくなります。

ていうか、あれ? この絵は……?

かつてどこかで観たことがある懐かしい景色の中に意識が吸い込まれるような、精神の集合無意識的な部分を刺激されて気分が朦朧としてくるような、それでいて謎めいた女の子と強く視線が合って緊張感を覚えるこの絵はもしかして……。

めろんさんに聞いてみるとやはりその絵は、ほとんどの滝本作品の表紙イラストを描いてくださっている安倍吉俊さんの手によるものでした。

いいなーこの絵。観ているとイマジネーションが羽ばたき、創作意欲が湧いてきます。

藤田祥平さんについて

安倍さん繋がりで藤田さんに親近感を覚えた私は、藤田さんの生い立ちやこれまでの人生についていろいろお話を伺いました。

藤田さんはウルフェンシュタインというFPSゲームの世界大会に出るために高校を辞めたという経歴の持ち主でした。好きなもの、つまりゲームにかける非人間的なレベルの情熱がお話の端々から伝わってきて、めろんさんが言っていた「SRクラス」という意味がおぼろげに感じられました。ぜひまたお会いして何か面白いお話を聞かせてほしいです。

あと驚くべきことに藤田さんはなんと私の「NHKにようこそ!」を大学生だった頃に読んでくださっていたそうです。

「当時、NHKを読んで、自分の中の何かが解毒されたような気がしました」という嬉しい感想までいただきました。

私が自分の新作の話をすると、「面白そう! ぜひ読みたい!」と言ってくださいました。ありがとうございます!

というわけで、安倍さん繋がりでもあり、めろんさん繋がりでもあり、しかも「NHKにようこそ!」繋がりでもあり、ゲーム好きという点においても繋がりを感じる藤田祥平さんの本はなんとしても買わねばならない。そう決意した私は翌日、川崎駅のリニューアルされた駅ビルの書店でさっそく電遊奇譚を購入、そして本屋さんに併設されているカフェでゆったり読みふけりました。

電遊奇譚

その内容はというと、ゲームに関するエッセイ集ということになるのですが、各章に書かれた藤田さんの実体験のどれもが、それぞれひとつの宇宙を形成しそうなぐらい濃密で、異様なトリップ感のある本でした。

自分は川崎の最新おしゃれカフェでこの本を読んだわけですが、意識だけが本の中の、だいたいにおいて戦闘中の殺伐としたゲーム世界に引き込まれるような読書体験を得ました。

全体的な雰囲気のイメージとしては、何か超巨大なコンピューターがあって、その中にさまざまなゲーム世界を作るプログラムが無数に同時並行的に走っていて、意識がいずれかのプログラムに没入するたびに、眼前に新たな法則を持った世界が立ち現れるような感じです。

各章がそれぞれ別個の世界で、それぞれの世界は微妙にリンクしながらも、特有の深みを持っていて、その深みを極めようとするとどこまでも無限に深い穴の底にまで潜っていくことができるような、そんな深淵を感じさせる話がいくつも並んでいます。

それを読み進む度にふと宇宙の秘密に気づくような洞察を得たり、読者としての自分の足元が抜けて、真っ暗な宇宙の真空に投げ出されるようなコズミック・ホラー感を味わったりしました。

あるいは自分が超巨大コンピューターの中を走る一筋のプログラムになったような自我の不安感を得たり、あるいは暗くザラついた、おそらくプログラムで構成されている無機質な宇宙の中をあてもなくさまようひとつの孤独な意識になった気分になったりしました。

そして最終的には、この今の自分の体験も、もしかしたらひとつのVRゲームなのかもしれないとさえ感じられてきました。

この現実とは、多次元的な世界の中を意識が無限に旅する途中の一場面に過ぎないのかもしれないと感じられてきました。当然、そんなことを考えるとちょっと怖くなります。

ですが作品の中を通底して響いている、そして最後の方で特に熱く響いている作者の声のようなものがあり、それがなんといいますか、生命力を感じさせるもので、ほっとしました。それは、意識の前に現れるどんな世界であっても攻略してやるぞというような強い人間的な意思を感じさせるもので、それに触れるたびに、読者としてほっと安心感を得ることができました。

おそらくこのあと、VR技術、MR技術、AI技術、そういったものの発展によって、どんどんこの現実は、ひとつのゲーム体験から次ののゲーム体験への連続といったものに変わっていくと思います。

考えてみれば、これまででさえも、私の人生の時間の半分以上は、ゲームやアニメやマンガや小説や、つまり三次元的物理体験以外の、仮想的体験の中で送られてきました。今後ますますその傾向は増え、私だけでなく全人類的に仮想的体験の比重が増えていくのではないかと思います。

そのとき、三次元的現実の重みや中心性が失われ、無数の仮想体験がそれぞれひとつの自立した現実として立ち現れてくるであろう、その無限の世界の中で、どう人生と向き合うか、どう正気を維持するか、そしてどうその体験を楽しんで、自分を成長させていくかについて、多くの貴重な洞察が得られる、そんな本でした。

また、いままで沢山ゲームをやってきて、ものすごい量の時間を仮想体験に費やしてきた私ですが、本書の読後、そんな自分を肯定できそうな気がしてきました。

そして、これからの未来、技術の発展とそれに伴う人間の意識の進化に対して、期待とワクワク感をもっとたくさん感じられるようになりました。

電遊奇譚、ゲーム好き人間の全員にお勧めの力作です。


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IGN Japan人気連載の書籍化作品
伝説的ネットゲーマーによる自伝的青春小説

重版、超人計画! “The Chojin Project” got reprinted again!

超人計画が増刷されました。

2003年に出版されてから、なんと15年間も売れ続けています。読者の皆さんと、時間を超えた魅力を放つ安倍吉俊さんのイラストのおかげです。本当にありがとうございました。

レイちゃんも喜んでいます!

またまた増刷されました㊗️ The Chojin Project got reprinted again. First edition was published in 2003.

Story: This is a Rei and Tatsuhiko’s story. Tatsuhiko is lazy lonely hikikomori man. Someday he decide to achieve the Project. The purpose of The Project is becoming super human who have evolved mind and real human girlfriend. Tatsuhiko’s “in brain girlfriend” Rei supports Tatsuhiko and his project. But there is sad destiny. If Tatsuhiko get real human girl friend, Rei will disappear because she only exist in Tatsuhiko’s brain and his imagination! But Rei loves Tatsuhiko deeply truly. So Rei helps Tatsuhiko and his project devotedly, even though the help and support lead Rei to disappearance of her existence.

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祝祭の街 明 -Lightness- 安倍吉俊デビュー20周年記念自選画集

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超人計画

海猫沢めろんさん、YouTuberデビュー!

先日、友達の作家の海猫沢めろんさんに誘っていただき、御徒町のモンゴル料理のお店で羊肉を食べる会に参加しました。

自宅ではほぼ草食動物として生きている私ですが、羊肉には道民の血が騒ぎます。

私が子供のころ、北海道ではあらゆるイベントでジンギズカンを食べる風習がありました。

海水浴に行けば、砂浜でジンギスカンを焼き、ピクニックに行けば見晴らしのいい丘の上でジンギスカンを焼き、マラソン大会では16キロ走ったあとでジンギスカンを焼き、特に何も無い日でもジンギスカンを焼き、ありとあらゆるシチュエーションの中で羊肉が消費されていきました。

そのため私の中で羊肉=ジンギスカンそのものであり、羊肉というものはそれ以外の食べ方をすると何か大きな不具合が生じるものであるという先入観がありました。

ですが御徒町のモンゴル料理のお店では、道民の想像を遥かに超えた多彩な羊料理がテーブルに並べられていきました。

そうか……羊肉は、ジンギスカンにするためだけのものじゃなかったんだ!

制限された観念が、新たなものに書き換わるとき、人はセンスオブワンダーを感じます。心にかかっていた古いフィルターが外れることによって、人は生まれ変わった世界を体験することができます。

これまで私の世界にはジンギスカンしかありませんでした。しかし今、私は多彩な羊肉料理のある世界に生きているのです。

これはいわば、一つの宇宙から別の宇宙へと引っ越すごとき跳躍といっても過言ではありません。

そんな大きな世界観の転換を果たした私は、その夜、精神的興奮によって、あるいは羊肉の何か健康にいい作用によって、なかなか寝つかれませんでした。

仕方ないのでいろんなマンガや本が無限に読み放題のKindle Unlimitedで、昔から慣れ親しんでいる漫画家さんの作品を読んで心を落ち着かせようとしたとき、ふと手元のiPhoneにメールが。

海猫沢めろん>YouTuberデビューのお知らせ

文字を読まずに本を読みたい!

そんな世界の読者のために、私、海猫沢めろんはこのたびYouTuber「文豪さん」としてデビューしました!

小学生でも共感できる「読書実況」という新たなるジャンルを開拓してまいります。

今後共ご指導ご鞭撻、YouTubeチャンネルの登録、リツイート等、賜りますようお願いしたします。ポスト平成時代の幕開けでございます。

海猫沢めろんさんと私は、物凄い長い間の友達です。

闇に包まれたゼロ年代初頭、私が生田のアパートに住んでいたひきこもり時代には、めろんさんにバイクでいろんなところに連れ出してもらいました。

今現在の精神的に安定している(当社比)私がいるのも、めろんさんのおかげである割合が相当に大きいと言っても過言ではありません。

そういえば、めろんさんと私は、やはりゼロ年代初頭にエリーツ(エリート達の意)というバンドを組んでいたこともありました。

(他のメンバーは作家の佐藤友哉さんと、めろんさんの弟さんと、今現在音楽プロデューサーをしている武術家の友人です)

音楽性の違いでバンドを解散したあとも、めろんさんと私は何かと一緒に活動することが多く、ともすれば社会との接点を見失いがちな私は大いに助けられてきました。

私の小説作品の中でも特に虚無濃度が限界を超えて高い『僕のエア』には素晴らしい解説を書いていただきました。(本文も面白いですが、この解説だけでも読む価値あり)

近年では専門学校で交代で授業をしたり、ATLANTISというトークユニットを組んで、たまにDOMMUNEに一緒に出たりしています。

というわけで、長年の交流から、めろんさんが進取の精神に溢れていることはわかっていたのですが、、、近年ではアナログゲームを作ったりもして、何でもやる人だなとはわかっていたのですが、まさかYouTuberデビューするとは。

私の予想を超えてさまざまなことに挑戦していくめろんさんの姿に、私はその日、二度目のセンスオブワンダーを味わいました。

羊はジンギスカンだけじゃなかったし、めろんさんは小説家だけじゃなかった!

そんな視野が広がる啓蒙体験を長年、惜しみなく提供してくるめろんさんに感謝しつつ、例のYouTubeビデオ(文学についての造詣が深まります)をここに貼って、本稿を終わりたいと思います。

海猫沢めろん戦慄のデビュー作。ゼロ年代の闇のすべてがここに。
ほっと癒やされるいい本です。
めろんさんの人間的魅力が詰まった自伝的小説。

増刷!『NHKにようこそ!』 “Welcome to the NHK!” Japanese Novel edition was reprinted again!

小説版『NHKにようこそ!』が増刷されました。2002年の発売から16年が経ちましたが、今も売れています。読者の皆さん、ありがとうございます!

1,000年後も読まれる作品になりますように!!

“Welcome to the NHK!” Japanese Novel edition was reprinted again. Thank you all readers!

『よく宗教勧誘に来る人の家に生まれた子の話』が可愛い

2018年の冬休みのこと。実家で家族とテレビを観ていると、友達の海猫沢めろんさんからメールが来ました。メールには以下のリンクがありました。

「エホバの証人の活動のなかで、最もつらかったこと」元信者が告白 http://gendai.ismedia.jp/articles/-/54012 #現代ビジネス

『これが私に何の関係が?』と訝りながらも、とりあえずiPhoneのSafariで上のリンクを開いてみて驚きました。それはなんと私が書いた小説『NHKにようこそ!』を読んだことがひとつのきっかけとなって、エホバの証人という宗教団体を脱退することになった女性のインタビュー記事でした。(めろんさん、教えてくれてありがとう!)


『NHKにようこそ!』にはエホバの証人をモデルとした宗教団体が登場しますが、作者の私としてはそういった団体や、人様が信じているどんなものについてもディスるつもりはありません。

また私は今も昔もいわゆる宗教なるものについては、特に深い興味は持っておらず、その存在について良いとも悪いとも思っていません。(私が運営している別サイトPortal of Lightのテーマは、私の長年の興味の対象である瞑想や変性意識状態といったものですが、それは宗教的なものとは無関係なものです)

ですが『NHKにようこそ!』では、ヒロインの中原岬が加入している宗教団体について、少し否定的な書き方をしてしまった感があり、それについては長年、気になっていました。

そもそもなぜ宗教団体なるものを『NHKにようこそ!』に登場させてしまったかと言うと、純粋に作劇上の必要性があったというのが理由のひとつとしてあります。

『NHK〜』を書くに当たり、『ひきこもりの主人公のもとにドラマティックに訪れてきてくれるヒロインとは、一体どういう存在なのだろうか。そんな存在はあり得ないじゃないか』と三日三晩、真剣に考えているうちに、『あ、そうか! よく俺のアパートに勧誘に来て冊子を置いてってくれるあの宗教団体の家の子をヒロインにすればいいんだ!』という天啓的閃きがあり、それによって岬というキャラは生まれました。

また当時、私にはネットで知り合ったエホバの二世の友人がいて、その友人のブログや、オフ会で会ったときに聞いた二世のリアルかつハードな苦労話などから、岬の生い立ちの材料をもらうことができました。また、その他、二三の資料から得た材料を使って、作中の宗教団体の描写を作りました。

執筆の際、宗教団体についてはできるだけ客観的な描写に留めようとしましたが、つい筆に勢いがついて、否定的な書き方をしてしまったのではないかと気になっていました。

作品の面白さを求めるあまり、軽はずみに現実の宗教団体や関係者をディスる内容になってしまったのではないかと、眠れぬ夜などに思い悩む日がありました。

しかし、このインタビュー記事を読んで、『NHK〜』の宗教団体関連の描写が、ときには読者にプラスの影響を与えたこともあったのだとわかり、作者として嬉しい気持ちで胸が一杯になりました。


上の記事でインタビューを受けているいしいさやさんは漫画家として活躍されていて、自らの体験を描いた『よく宗教勧誘にくる家に生まれた子の話』というコミックを講談社から出版されています。

さっそく買って読んでみました。

よく宗教勧誘に来る人の家に生まれた子の話(Amazon

  • 凄く可愛いほのぼのした、独特な魅力ある絵柄
  • ↑この絵柄で書かれるエクストリーム・ハードな内容
  • なんだかところどころエロい
  • 戒律を破ったため母にベルトでお尻を打たれる少女
  • 思春期の性の目覚め
  • 宗教的戒律による抑圧下での密かな性的行動
  • 王国会館のトイレであんなことが……!

さまざまな葛藤がある中で、主人公が性的なものと向き合う姿が、人間的な共感を呼ぶものとして表現されていると感じました。またそれが、このひたすら可愛い絵柄で描かれることによって、このコミックに不思議な魅力をもたらしていると感じました。

また、この話は、人間が成長するにあたり必ずくぐり抜けなければならない試練を、『宗教団体に違和感を感じ、自分の意志でそこから抜け出す』というエクストリームな実例によって描き出しているのではないかという印象を得ました。

宗教団体に入っているいないに関わらず、多かれ少なかれ、人間というものは何らかの固定化された世界観や信念を持って生きているものであると私は思います。そして、人間が成長するにつれて、旧来の世界観や信念が自分にそぐわないものになってくるときが必ずあると私は思います。

いわば手足が伸びるに連れて、子供服が自分の体に合わなくなるようなものですね。そのように、何かの世界観、何かの信念が自分に合わなくなったとき、それを勇気を出して捨てなければならなくなります。

それは、慣れ親しんだ家を捨てるようなものであり、今まで自分を守り、育ててきた大切なものを否定して捨てるようなことであり、それは時に大きな恐怖や痛みや罪悪感を伴うものであると思います。

そのような、ひとつの世界観から、新たな、より自由な世界観へと、殻を破りながら移行してゆく人間の成長の過程が、この漫画には、優しい筆致で淡々と、しかし鮮やかに描かれていました。


よく宗教勧誘に来る人の家に生まれた子の話(Amazon

  • 可愛い絵柄のマンガが読みたい人
  • 宗教団体の二世の生活について興味がある人
  • 家族との関係に思い悩んでいる人
  • 「NHKにようこそ!」の岬ちゃんが好きな人
  • 古い殻を破り、より自分らしい生き方をしてみたい人

こんな人におすすめのコミックです。

牧野由依さんのニューアルバム『WILL』が凄い

このページは、小説家としての滝本竜彦の活動についていろいろ書いていくつもりのページです。新作小説等が出版された際の宣伝の場として作っています。

ですが自分の新作を紹介するのはもうちょっと先になりそう。でもせっかく用意したブログだから、何かに活用したい!

というわけで、今日は牧野由依さんのニューアルバム『Will』について紹介させていただきたいと思います。

牧野由依さんといえば『NHKにようこそ!』のアニメの中原岬の声優をしてくださった方で、他にも多くの有名キャラの声をされている方です。透明感があり繊細で可愛らしく、それでいて芯がある、独特の魅力のある声で、多くのキャラに生命を吹き込んでいます。アーティスト活動もされており、CDも沢山出しています。私も牧野さんの歌が好きでよくiPhoneで聴いています。

ところで先日、アニメ『NHKにようこそ!』十一周年記念同窓会というイベントがありました。少し緊張しながら新宿の格好いいビルの上の方にある居酒屋に行ったところ、ふと気づくと隣の席に牧野さんがいて、それに気づいた瞬間、頭が真っ白になりました。

なんていうんでしょうか、メディアの向こうにいる人が現実に現れたという、ありえないことが起きている認知的不協和によって、脳がパニックに陥ったようです。びっくりしました。

しかも斜め前には阪口大助さんが座っていることにも気づき、さらに驚いてしばらくフリーズしてしまいました。なんとか「Vガンダムの頃からファンです」とお伝えすることができて良かったです。

佐藤達広役の小泉豊さんは現在、声優業とともに音響監督の仕事もされているそうで、びしっとしたジャケット姿と、仕事に対する情熱が感じられる誠実そうな語り口が素敵でした。『NHKにようこそ!』は声優の皆さんの名演技の宝庫です。

山本裕介監督は今年の夏に放送開始の『ヤマノススメサードシーズン』を製作中とのことで、今からすごく楽しみです。『ヤマノススメ』は可愛い女の子たちが登山して成長していくという物語で、アニメコミックも凄い面白いのでおすすめです。『NHKにようこそ!』の後に観ると、ちょうどバランスが取れていい感じになると思います。私はこのアニメの影響で、昨年、友達の海猫沢めろんさんと佐藤友哉さんと高尾山に登りました。

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スタッフとキャストのみなさん

で、この席で牧野さんとお話させていただいたご縁で、3月21日に発売になったばかりの牧野さんのニューアルバム『WILL』のサンプルを、なんと頂いてしまいました。

さっそく聴いてみたところとんでもなくいいアルバムだったので、感想を書いてみたいと思います。

  • 一曲目 Reset – A Cappella Version-
    • 全編、牧野さんのボイスパーカッションと声で作られている曲。何重にも録音された声によって作られた曲の世界にふわっと包まれることができ、寝る前などに聴くといい夢が見られそうです。アルバムの世界にすっと入っていける曲です。
  • 二曲目 song for you
    • リスナーを応援してくれる曲と歌に、シンプルな力強さが感じられる曲。歌詞がまっすぐ心に入ってくる曲です。ぐっと熱い気持ちになれます。
  • 三曲目 ウィークエンド・ランデヴー
    • 四つ打ちの気持ちいいビートの上におもちゃ箱の中身を広げたような楽しい感じが乗っかった曲。思いっきり日本語の歌詞の曲なんですが、歌も演奏の音として機能としているためか、歌の内容が日常的な意識に引っかかることのない、現代的なダンスミュージックとして気持ちよく聴ける曲です。こういう曲は何回でも聴けそう。抽象的なポップアートを見たときのような、日常的な意味性を超えたアブストラクトな楽しさが感じられます。
  • 四曲目 What A Beautiful World -Studio Live Version-
    • 崇高な光に優しくふわっと包まれ持ち上げられる感覚とともに、人間らしい切実さや可愛らしさが凝縮されたような歌声の表現が心の琴線を揺らす曲。崇高さと人間らしさが一つの曲の中でハーモニーを奏でており、スペクトルの広い感動が得られる曲。ていうか心揺さぶる名曲。これはぜひ多くの人に聴いてほしい曲です。
  • 五曲目 Colors of Happiness
    • 格好いい物語性が感じられるドラマティックな曲。映像的な物語性が感じられる曲でありながら、歌や旋律だけに意識を飲み込まれることのない、曲全体に意識を包まれるような不思議なリスニング体験ができる曲です。現代的というか未来的な手触りを強く感じました。
  • 六曲目 それはきっとボクらしく生きる勇気
    • もっとも人生のリアルなアレコレを強く感じさせる歌詞の曲ですが、歌が透明な水のようにまったく抵抗なく心に入ってきて、あとに一切の淀みを残さず、ピュアな安心感ややる気のみを残していく曲です。
  • 七曲目 ハウリング
    • リズムと楽しさが際立つ曲。未来に向かって楽しさや情熱が波紋のように広がっていくのが感じられます。そういった前向きな雰囲気が、歌詞の意味として入ってくるのではなくて、歌と曲の音を通してスッと無抵抗に心に伝わってきます。

ハイレベルで現代的な楽曲と、魅力と表現力に溢れた歌声の融合によって、聴くごとに心の栄養分がチャージされていくような、それでいて日々の音楽として軽く楽しく気持ちよく聴ける、そんなアルバムとなっていると感じました。これからヘビーローテーションで聴いていきたいと思います。

  • 音楽が好きな人
  • 美しい歌声が聴きたい人
  • 心を高揚させるものを求めている人
  • 「NHKにようこそ!」の岬ちゃんが好きな人

特にこういった方々におすすめのアルバムです。

Will 通常版(Amazon

Will 初回限定盤(Amazon)