今日の読書:ブルーストライカー

柴田ヨクサル原作の格闘漫画、ブルーストライカーを読んだ。

主人公はかつてブルーストライカーという特撮の主人公を演じていた俳優だったが、今は仕事を失い家族を失い、自殺しようとしている。

ところが謎のマッチングストリートファイトアプリをスマホにひょんなことからインストールしたところ、GPSによって街で出会い、ストリートファイトをしあうファイターたちの戦いに巻き込まれることになる。

柴田ヨクサル独特の清々しい高揚感と、脳内麻薬がドバドバあふれる展開がぎゅっと濃縮されている。読むと心の中にじわーっと脳内麻薬の原料のようなものがチャージされていくのが感じられる。その脳内麻薬は清らかな、ピュアな性質を持っている。

数年前、高校時代に柴田ヨクサル氏のデビュー作『谷仮面』を読んで以来、氏のファンである。当然、氏の代表作であるエアマスターも大好きだ。本作を読んでしばらくして気づいたのだが、ブルーストライカーは、なんとエアマスターの十数年後の世界なのだった。

エアマスターに登場した『スナイパー空手』の人や、なんとあの人とあの人の子供まで登場する。

というわけでブルーストライカーは、私的に今、最大注目の格闘マンガである。柴田氏のファンであれば必読であるし、初見の方にもぜひおすすめしたい。

新曲完成『Little Candy long mix』

かねてより制作していたLittle Candy long mixが完成した。

人は生きていると社会の荒波の中で疲れて自分を見失うときがある。

そんな夜は、子供の頃に好きだったキャンディを買うような、何か小さな優しいことを、自分のためにしてあげる必要がある。

そうすればきっと、のどかでくつろいだ気持ちを取り戻せるだろう。

この曲を新社会人のあなたに捧ぐ。

卒業の春/レゲエのリズム打ち込み

ここ数日、部屋にこもって音楽作ったり瞑想したり小説書いたりしていた。

今朝、ひさしぶりに駅前に出てスタバに入ると、顔見知りの店員さんが今日で卒業=退店するとのこと。

そうか、春だしな。。。

なんだかしみじみ。。。

今日の作業

昨日SoundCloudにアップロードした曲、Little Candyが思ったよりいい曲になったので、もうちょい時間を伸ばして4分ぐらいの曲にすることにした。

イントロ→ビルドアップ→ブレイク→サビですぐ4分くらいにはなる。ただいま製作中。これは最初の短いバージョンのものです。

この曲のメロディやベースはこの本にあるのを丸写ししたものである。

この本によれば、この曲のベースラインはレゲエの典型的なものだそうだ。

なのでリズムもレゲエっぽいリズムにした方がいいかもしれない。(今のところ普通の四つ打ち)

だがレゲエなるものを私は何もわからない。

有名なレゲエのミュージシャンと言えば、ボブ・マーリーだ。

ボブ・マーリーの出てる映画、Rockersは、十年以上も前、変性意識に関するあれこれを調べる際にDVDを買った。(最後まで観たかどうかは記憶にない)

Rockers

またこれに関連して、ボブ・マーリーのCDも買った。

このCDの一曲目、Get Up Stand Upという曲がボブ・マーリーの代表作だ。

歌詞の内容は「起き上がれ、立ち上がれ、戦うのを諦めるな、自らの権利のために戦え!」というような、政治的なアジテーションである。

それが、すっちゃ、すっちゃ、というレゲエのリズムに合わせて淡々と歌われる。

ちなみにレゲエはラスタファリズムという宗教のような思想活動のようなものと深い関わりがある。ラスタファリズムは大麻の使用を基本とするもので、その中で大麻は神聖な植物とされている。

レゲエ音楽のリズムやノリは大麻による変性意識状態での間延びした時間間隔から生まれたものであろう。

政治的アジテーションと、宗教的思想活動と、大麻の使用と、それによる既存の体制が作り出す時間感覚からの脱却と、制限のある時間感覚から脱却した意識状態で生まれるリズム、これら各要素には密接な関係があり、それらの思想、スタイル、活動が混然一体となってレゲエ音楽を作り出しているようである。

だがレゲエのノリを私が肉体的につかむにはぜんぜんそういった音楽の摂取量が少ない。お金出して買ったのは前述のボブ・マーリーのCD一枚ぐらいじゃないか。

でもDTMerたるもの形だけでも各ジャンルの雰囲気を抑えておかねば、とのことで、最近読んでるこの本のレゲエのリズムをポチポチとDAWに打ち込んでみました。

レゲエ力が0.5上がった!

新曲『Little Candy』

ここ数日、この本『クラブミュージックのための今すぐ使えるコード進行+ベース&メロディ』をDAWに打ち込んで音楽の学習をしている。

この本で二個目に紹介されているコード進行、FEmDmCを打ち込んでみたら、なんだかすごく素敵だったので、ドラムとボーカルと飾りをつけてシンプルな曲にしてみました。

ピアノ、ベース、メロディ、パッド、すべて本に書かれている通りです。

またドラムは、『DAWで学ぶリズム打ち込み入門』にあった4つ打ちのリズムパターンを使いました。

ボーカルは今回もFunction loops のサンプルパックを使いました。Fresh Vocal Hooksというパックです。

また効果音にはKorg GadgetのAmsterdamと、AIR Music TecnologyのThe Riserを使っています。

音楽学習

音楽熱が日増しに高まっている。(小説も書いてます)

そのため音楽学習にも力が入っている。

今は以下の4つの本を同時に学習している。

クラブ・ミュージックのための今すぐ使えるコード進行+ベース&メロディ

この本の中の作例をひとつずつDAWに打ち込んで、コード進行とベースとメロディを学んでいる。これで引き出しを増やしていきたい。

DAWで学ぶリズム打ち込み入門

この本も作例をひとつずつDAWに打ち込んで、リズムトラックの作り方を学んでいる。これで引き出しを増やしていきたい。

ギターを弾いているだけで音感がアップする方法

この本は、中に書かれてある楽譜をギターを弾いていくだけで音楽の基本である音程感覚が身につくという本だ。

ZOOM R8というMTRにギターをつなぎ、さらにZ8で簡単なドラムトラックを作って、この本の楽譜を弾いて学習している。

音感が付き、ギターもうまくなり、しかもベースの基礎も理解できるという一石三鳥の本である。

DTMは別に楽器なんて弾ける必要はないが、私的にはやはりある程度の肉体感覚を磨く必要はあるのではないかと思っており、それでギターとベースをやっている。

DAWの打ち込みにキーボードは使うが、それだけでなく弦楽器もやることで、音楽に対する理解が立体的に深まるように思う。

ベースラインづくりをイチから学べる111のアイデアとテクニック

ベースはこの本で学んでいる。本の作例のドラムトラックをiPhoneのKorg Gadgetにさっと打ち込み、それに合わせて作例のベースを弾くというやり方で、少しずつ進めている。

 

いろいろ並行で進めているが、一つ一つのトピックは短く、すぐに終えることができる。さまざまな分野の学習をちょっとずつ進めて、肉体に染み込ませるように学習していきたい。

また学習の傍ら、実際の音楽制作もどんどん進めていきたい。

あとあれだ。俺は本当に歌うのは苦手で、中学生のころは音楽の時間にも全く歌を歌えず、仕方ないから合唱大会では指揮者をやったという経験があるのだが、しかし自分の歌を自作曲にどんどん入れていきたい。なぜなら歌を入れた方が面白そうだから。

 

音楽制作記録

She Came into Your Life

ボーカルのサンプルはFunction Loopsより購入。WavesのTuneによって、スケールに合わせてピッチを修正している。

スライスしてヴォイスパーカッション的に使ったり、二本のヴォーカルを重ねてメインの歌に使ったりしている。

本曲のスケールはCドリアン。ドリアンモードで作曲した。モード的作曲のための理論はこの本から学んだ。


音源はKorg Gadgetのプラグインコレクションを多用した。

ドラムはLondonを使い、キック×2、スネア、クローズハイハット、オープンハイハット、シンバル、それぞれにトラックを割り当て、それをグループトラックにまとめている。キックはそれぞれ周波数のピークの違う二種類のキックを使った。

各ドラムトラックにEQ8やコンプレッサーを挿して、それをグループにまとめたあと、WavesのH-Compをグループトラックに挿し、グルー的な意味合いでかけている。

ベースはKorg GadgetのCicagoを使い、Ableton LiveのMidiエフェクトであるRandomで30%ほどの確率で音程をランダムに鳴るようにした。ランダムにしただけだとスケールアウトするかもしれないので、その後にMidiエフェクトのScaleを挿して、どの音もドリアン・スケール内に収まるようにした。

本来はランダム化されたMidiを録音してそれを厳選するという工程を経てクオリティアップさせるべきであるが、ここで気力切れ&不完全さもまた良しということで、今回はここまでで作業終了。

コードバッキングはCasioのミニキーボード、SA-46のエレクトリック・ピアノを録音して使った。録音した音にAbleton Live内で各種エフェクトをかけるといい感じになった。
SA-46

シンセのアルペジオはKorg GadgetのLisbonとBerlinを重ねたもので作った。

シンセのメインフレーズはLisbonを、Bossのコーラスのコンパクト・エフェクター、CH-1に通して録音したものを使った。

その他の音源として、ライズ音専門シンセであるAir Music TechnologyのThe Riserをライズ音ではなく、フォール音(上がる音ではなくヒューンって下がってくる音)のために使った。

今回の作曲の目的

Ableton Liveの各種操作に慣れること。

何かしらの実機の音を使うこと。

モード的作曲法によって作曲すること。

ひとつのシンプルなメロディを展開させて使うこと。

キック、ベースのEQに気を使うこと。などなど。

今回の学び

  • 周波数、EQ、ミックスに対する感性は少し身について来たように感じる。
  • 作曲の最後の工程で、EQ3というDJ的なシンプルなイコライザーで、Midiコントローラーのつまみを動かしながらドラムトラックにEQをかけて録音してみたのだが、これが今回の曲にピッタリはまって非常に気持ちいいものになっている。
  • いつまでもセッション・ビューで作業しているといつまでも曲が見えてこない。ベース、ドラム、メロディの気持ちいいワンフレーズが出てきたら、もうアレンジメントビューの作業に移ってしまっていいのかもしれない。
  • アレンジメントビューでは、とりあえず展開をざっと作って、ロケートポイントを打って名前をつけてしまうと作業が捗るようだ。
    • とりあえず音を収める箱を幾つか作って、時間に沿って並べてしまうということ。しかもそれに名前をつけることで作業が前進する足がかりとなる。今回のようなコードやメロディでの展開が無い曲でも、そういった足がかりがあれば曲として完成させることができる。
  • ベースをRandomで鳴らした時、ハッとするかっこいい音が鳴るときがあった。今までMidiをRandom再生したときは、毎回、「良いフレーズが鳴りますように」と神に祈りながら曲全体を書き出していたのだが、これからはランダム再生のMidiトラックを別のMidiトラックに録音して、いい感じのフレーズを厳選、切り貼りするという手法を使ってみたい。
  • 実機のエフェクターや音源を少しでも曲に盛り込むと、なんとなく満足感があがり、曲のいい感じポイントが高まる気がする。

総評

今回の作曲はひたすら時間がかかった。1月にファイルを作ってから3月半ばまでかかっている。原因はというと、今までになくメロディの無い曲であるため、何をどう曲としてまとめたらいいかわからなかったというのがある。

しかしアレンジメントビューで構成を練るということや、各種エフェクト等の細かい差異によって展開を作っていくという考えを学んだので、それによってこの曲を完成させることができた。

Ableton Liveの使い方もだいたい分かった。右も左もわからなかったものだが、人間、進歩するものである。

曲の内容も、私的にはとても大好きな曲になっている。

前からベースを打ち込むのが苦手で、よくアルペジエーターにベースを一任したりしているのだが、今回はさらにRandom化させることでかっこいいベースが得られることがあるとわかった。この方向性はもう少し追求してみたい。

次はどんな曲をつくろうか。今回のようなモード的な曲も気持ちいいが、次は普通のコード進行があって歌詞があって、ギターとベースを自分で弾いたようなやつとかどうかな。作曲理論を勉強などしつつ。

音楽制作記録

今年一月から作っている曲がある。

Ableton Liveの使い方をひと通り覚えようと思い、こういった本を参考に作っている。

で、ドラムトラックだけで非常に複雑かつ込み入ったセッティングをするわけです。ドラムのグループトラックを作って、その中で細かく音量を調整し、さらにスネアを何種類も使ってみたり、キックを二つの音を合成して作ったり、EQを細かくかけたりするわけです。

その他いろいろな試行錯誤の中でいろいろAbleton Liveの使い方には詳しくなりました。

ただなかなか『良い音』にならない。

どうしても盛り上がりにかける。

そのためか1月に作り始めた曲が未だに完成していません。

事態を打開するため、複雑怪奇なセッティングになっているドラムトラックを一旦全消去して、Korg GadgetプラグインコレクションのLondonに変えてみました。

するとどうでしょう。

盛り上がる良い音が鳴る。。。!

Londonはパラアウトできないので個別の音にEQをかけることはできないのですが、いいよ、プリセットで十分いい。こういうのがいいんだよ!

なんか、せっかくAbleton Live買ったんだから、Liveの機能をちゃんと使わなければ負けな気がしていたんですが、そんなことはないのかもしれません。

Korg Gadgetプラグインコレクション、もっとバリバリ使っていきたいと思います。

Korg Gadgetのいいところ

  • 使い方が簡単
    • 初DAWとして最適
  • iPhoneがあれば数千円で導入できるのに本格的な制作にも使える
  • Mac版はプラグインコレクションとして、他のDAWでも使える
  • 一つ一つの音源がシンプルにまとまっていて使いやすい
  • それぞれの音源のイメージがよく出来ており、使っていてイメージが湧きやすい
  • Phoenixが好き。

Ableton Liveのいいところ

  • なんでもできる
  • 超柔軟性がある
  • UIがシンプルで美しい
  • 『俺の城』という感じがする
  • マニア心をくすぐる
  • セッションビューとアレンジメントビューという二つのモードを切り替えて音楽を作っていくというコンセプトが魅力的である。
    • セッションビューは音楽のパーツを作り、それをあれこれ組み合わせるための画面。
    • アレンジメントビューは通常の、時間の流れにそって音楽を作る画面。
    • Ableton Liveでは基本的にこの二画面を行き来して音楽を作っていく。

(Korg Gadget製品紹介ページ)

今日のマンガ:グレイプニル

コミックDAYSで一巻が無料だったので読んでみたら面白かったマンガ。

なんでかわからないが着ぐるみに変身する力を持ってしまった主人公(着ぐるみ時は超強くなる)と、自殺願望を持ったメンヘル少女が協力しあって謎の敵と戦うマンガ。

絵、ストーリー、キャラクター造形、全体的にレベルが高いのだが、なんといってもメインのアイデアが素晴らしい。

主人公はまったく戦う意思が無いのだが、着ぐるみになった主人公の中に少女が入り(着ぐるみなので背中のチャックを開けて中に入ることができる)主人公の体を少女が動かして戦うというアイデアが面白い。

魅力的なメンヘル少女、彼女を自分の体内に入れて、自分を操縦して戦ってもらうというスタイルに、何かこううっとりとする気持ちいいメンヘル感があり、非常に読み心地がいいマンガである。

エヴァのエントリープラグやLCLといったSF肉体融合系のモチーフをさらに先鋭化させたような感じか。

アニメ化するというのもうなずける。

とりあえず三巻まで読んだが続きも読んでいきたい

ほぼ読了、『エレクトロニック・ミュージック・クリエイターのための作曲アイデアと表現テクニック』

今まで断片的に読んできたこの本だが、やっとひと通り目を通すことができた。

とりあえずモード的な作曲法についてなんとなく理解できた。

今になって気づいたのだが、以前、私が『モードで作曲した!』と思っていた各種の曲は、ぜんぜんモードではなく普通の調性音楽だった。

というのも、例えばWalk Around Winterという曲では、『Cフリジアンモードのスケールを使えば、自然にCフリジアンモードの曲になるだろう』と思って曲を作った。

だがCフリジアンというのは、ルートが違うだけで、Fナチュラル・マイナー・キーと同じ音の並びだったのだ!

この音の並びを用いても自動的にCフリジアンモードの曲にはならなかったのだ!

Cフリジアンモードの曲にするには、ベースをCで鳴らすなりなんなりしてルートがCであることを強調し、なおかつCフリジアンの特性音であるD♭を要所要所で鳴らす必要があった。そうして初めてその曲はCフリジアンモードの曲としてリスナーに認識されるものになるのである。

だが私はWalk Around Winterを作る際、なんとなくメロディを作り、そのメロディに合うコードをなんとなく作っていった。

その結果できたものは、Fm-Cmを繰り返すというコード進行の曲だった。

FmはFナチュラル・マイナー・キーのトニックであり、CmはFナチュラル・マイナー・キーのドミナントである。

つまり私はトニックードミナントを繰り返すという、調性音楽における最もプリミティブなコード進行を無意識のうちに作っていたというわけである。そしてそれは当然のことながらモード的な音楽ではない。

今の私の理解によれば、モード的な音楽とはコード進行が無くて、延々と似たような雰囲気が続く音楽のことである。

(以下、私なりのモード的作曲なるものについての覚書である。またそこから派生した思考のメモである)

通常の調性音楽はコードを進行させていくことにより、その曲の中でいわば物語を進展させていく。一方、モード的音楽では物語は進行せず、最初から最後まで同じ雰囲気が続く。その雰囲気は曲の内部構造としてのコードによって生まれるのではなく、曲のより基底的な構造としての各種のモードから生じる。

コードがその曲の世界の中で起こるひとつひとつのイベントのようなものだとしたら、モードはその世界に通底して流れている雰囲気のようなものだ。

そのモード、雰囲気はモーダル・インターチェンジしない限り、曲の最後までずっと同じものが使われるので、一曲につき一つの雰囲気がキープされることになる。

調性音楽のシステムを使う限り、何をどうしてもトニックードミナントという、起承転結性が曲の中に生まれ、それによって善かれ悪しかれ時間の流れや物語性が曲の中に生まれてしまう。そのときリスナーの意識はその物語性に集中することになる。

一方、モード的作曲法によって作られた曲ではひとつの雰囲気が最初から最後まで続き、その中では特に物語らしい物語が生じないため、その曲の中で時間は流れない。

そのような止まった時間の中に身をおいたリスナーは、おそらく曲を構成する音そのものに意識を集中することになる。

調性音楽では、リスナーはその意識を、音楽の奥に向ける。つまりコードの流れによって、その曲の奥に存在していることが暗示される物語に、リスナーは意識を向ける。

だがモード的音楽では、その音楽の奥には何もない。だからリスナーは音楽の表層、そこにある音そのものに意識を向けざるを得ない。

そのとき、音楽によって指し示される物語(音楽という記号表現によって、その奥に存在していることが暗示される意味内容)を楽しもうとする傾向よりも、音楽を表面的に構成する音そのものを、そのコンテンツの実体として楽しむ傾向が生まれる。

それはいわば音楽の奥に隠されていたイデアの世界が、より表層に引っ張りだされて来るということでもある。

そのとき音楽は、何かの対象を描写したものではなくて、その『何かの対象』そのものになるとも言える。

ただ、そのようにしてリスナーの前に露出された『何かの対象』は言語ー記号によってシンボライズされる前の『物そのもの』なので、何事につけてものごとを象徴化せねばそれを認識できない人間の思考作用にとっては一種の異物となる。つまりそれは理解不能ななんだかよくわからないものになってしまう。

実際、モード的な音楽を聴くと無味乾燥した感じや、人間的情緒が薄い音楽としてそれが感じられることが多い。とっつきにくい音楽であると感じられることが多い。

というわけでこういった局面において大事なのはやはりバランス感覚であったりするのだろう。

日常的な意味性と、なんだかよくわからない超意味性との間のバランスを取る、というような。

あるいは『何か』についての描写としての象徴性と、それ自体が『その何か』であるという実体性の間についてのバランスを取る、というような。