新曲完成!『UNYOU』

友達に「滝本さんの闇を感じる」と言われた一曲

前回前々回から続く闇テクノ風な曲です。

以前にも増してメロディがなくなり、意味感が消え、無意味さが全面に押し出されています。

その分、限りなく抽象化されたピュアな楽しさがクリアに響く楽曲になっています。

正直、これまで作った曲の中で一番好きかつ私らしさが出てると思います!

(毎回、最新の曲が一番好きになるんですが)

制作メモ

自分用にカスタマイズしたドラムラックを作り、製作の起点とした

ベーシックな909と808のサンプルを組み合わせたドラムラックを作りました。非常に侘び寂びを感じるものでありつつ、エフェクト次第では現代的な音も鳴らせそうなドラムラックです。

前は苦手だったんですが、808の音がだんだん好きになってきました。

自分用にカスタマイズしたテンプレートをセッションビューに作り、それによって製作時間の短縮化を図った

前もってIntro1、Intro2、Verse1、Verse2などと曲の構成をテンプレートとして作っておき、そこにポチポチとパーツを作って埋めていく製作スタイルを試してみた。

結果、特に制作時間は短縮化されず、いつものように悩むところで手が止まり一週間何も前に進めずというパターンに笑

どうやらそういう小手先のテクニックでは制作時間短縮はできそうにない。でも曲構成を前もって決めておくのは、わずかながら製作のストレスを減らす役には立つかも。今回作ったテンプレートでもうしばらく製作を続けていきたい。

Beat Repeat、そしてArpeggiatorを多用した

これまでも使ってきたが、Ableton Liveでの訳のわからないIDM的エレクトロニカ的音楽を作るためには、Beat RepetとArpeggiatorをうまく使うのが大事だと感じた。

特にBeat Repetはグリッチ風な音を簡単に作れるお役立ちエフェクトなのだが、私はいまだにそのパラメータが何を意味してるのかよくわからず使っている。

いろいろ解説とか読んでいきたい。

今回はBeat RepeatとArpeggiatorでグチャグチャにしたベース2と、通常の音がなるベース1をクロスフェーダーで振り分けて鳴らしてみた。

また、そのクロスフェーダーと、ベース1のディレイとピッチをひとつのMIDIキーボードにアサインし、左につまみをひねればベース1の音が大きくなり、右につまみをひねればベース2の音が大きくなると同時にそのピッチが上がり、さらにディレイが強くなるようにした。

そしてそのツマミをいじりまくり、それをリアルタイム録音し、楽曲に人間味と躍動感を与えた。

よって本曲にはトラックメイカーTKMTの魂の躍動が込められている。ぜひ皆さん百回お聴きください! とてもいい曲です!

曲中に使っているヴォイスサンプルからタイトルを作った

作曲完了し、SoundCloudにアップ完了し、という段階に至ってもなかなか曲名が見つからなかった。それもそのはず今回のこの曲はこれまででも最大限に意味性が排除された曲だからである。

テクノ音楽のクリエイターがわけのわからない記号のような曲名を付ける意味がようやくわかった。

あまりに抽象的な曲は人間的な意味性を持つ単語を弾く性質を持っているのだ。だから何をどうしても普通のタイトルが付けられなくて困った。

そんな状態で何度か本曲を聴き直していると、女性のサンプルが「Un you Un you」と歌っているような気がしてきた。そこでその音をタイトルとした。

参考アイテム

本曲もやはり竹内一弘氏の本を全面的に参考にして作りました!

 

Cosmic Autumn Festival リミックスしました

Korg Gadget Recommendにも選ばれた名曲、Cosmic Autumn Festivalをリミックス&リマスタリングしました。

ぜひお聴きください。

作業メモ

  • 全体の周波数バランスを整えた。ローはベースとドラムに任せ、メロディとコードを担当する4つのシンセのローは思いっきりカットした。また各シンセの周波数を、互いに被りながらも特徴が出るように大胆にEQをかけた。これにより以前より音がスッキリして聴きやすくなったはず。
  • ドラムトラックを整理し、ごちゃごちゃとした細かな打ち込みをシンプル化した。また、フィルインがバシッと目立つようにした。
  • 後半、シンセがひとつひとつ順番に曲中に現れるようにした。またその際、新たに登場したシンセ以外の音量を下げ、一番目立たせたいシンセにフォーカスが当たるようにした。
  • その他、細かいバランス調整を大量にした。

小説と一緒で音楽もバランス調整や細部の作り込みが大事だ。

アイデアを表現するときはバシッと一気呵成に勢いでやった方がいいのだが、あとでそれをチマチマとバランス調整する作業も大切である。

そして私はそのチマチマした作業がそんなに嫌いではない。

参考アイテム

ミックス作業にあたり例によって竹内一弘さんの本を参考にしました。


いい本です。

本の中にアナログ機材に関することが書いてあって、それを読むと何かいいアナログ機材を買いたくなってしまうんだよなあ。

音楽のアナログ機材はかなりの沼な気がするけど、ロマンを感じます。。。

こっち↓はまだ買っていないのですが、これもいい本な気がする。買いたい。

新曲完成!『5D Spring Dance』

前回の作品投稿からかなりの時間が空いてしまったが、なんとか新曲をサウンドクラウドにアップできました。

ぜひお聴きください。

作曲メモ

前回の曲と同様、今回もAbleton Liveの標準機能をメインにトラックメイクしました。

いくつかEQ、コンプに他社製のものを使い、マスタリングが面倒になってOzoneを使ってしまいましたが、それ以外は標準音源、標準エフェクトだけです。

で、前回と同様、竹内一弘氏の著作を読んで、その中に書かれているテクニックを実践する練習として曲を作りました。

この三冊はAbleton Liveユーザーやエレクトロニック・ミュージックを作ろうとしている人はベスト・バイではないかと思います。

モードで作曲

上で紹介した『エレクトロニック・ミュージック・クリエイターのための作曲アイデアと表現テクニック』では、主にモードでエレクトロニック・ミュージックを作るための方法が書かれています。

この本を参考にして、かなり以前にドリアン・モードでShe Came into Your Lifeという曲を作りました。

今回もドリアン・モードで曲を作ってみました。

どちらの曲にもドリアン・モード独特の浮遊感が出ていると思います。

モードで作曲すると、通常の調性音楽でのコード進行が生み出す物語性や時間の流れの感覚が薄れます。

その代わりに生じる浮遊感や、感情的なドラマが希薄な感じが、特にミニマル・テクノ的なループを多用するエレクトロニック・ミュージックによく合うようです。

逆に言うと、同じエレクトロニック・ミュージックであっても、トランス等の物語的な感情の動きを重視するジャンルでは、モード的作曲法はあまり適合しないように思います。

以下、今回のトラックメイクのアイデアを箇条書きでメモっておきます

  • テクスチャー的なサンプル二つを組み合わせたクリップにBeat Repeatにかけたらアシッドベース的な音になったので、それにフィルターをかけて曲中、鳴らし続けた。フィルターはMIDIキーボードのツマミをアサインし、その操作をリアルタイム演奏で録音した。
  • ベースのフレーズは曲中、ずっと同一のものを使った。それに標準エフェクトのRandamとBeat Repeatをかけることで展開を作った。こういう音楽では、できるだけメロディのフレーズは少なくし、それをエフェクトによって加工して展開を作るとミニマル的なカッコよさが生まれるらしい。
  • パッドは曖昧感が出るようにErosionやFilter Deleyで加工した。
  • シンセのメロディをパッドと溶けこむように、周波数に気を使ってEQをかけた。

などなど。

総評、感想

このタイプのミニマルなテクノ的な曲の作り方が少しわかった気がする。

アップ後は「なんていう地味な曲を作ってしまったんだ。こんな曲をアップしてオレは馬鹿かー」と後悔していたが、今になっては一番、好きな曲である。

といっても私はいつも一番最近作った曲を一番好きになるのであるが。。。

ところ、この曲はなぜか東欧からのリスナーが多い。東欧というとなんとなくハードなテクノが好まれそうなイメージがある。そのためだろうか。。。

なんにせよ地球のいろいろなところに住む方々に聴いてもらえて嬉しい事である。

この曲を地球のどこかで聴いてるだれかがその瞬間、ノリノリになってるところを想像すると本当にトラックメイカー冥利に尽きる気持ちになる。