前回の記事ではKorg Gadgetでさっと作った曲に、Ableton Live上でコードを付ける作業について書いた。これにより、だいぶ普通の曲っぽくなった。
今回の記事で一連の製作記は最終回にする予定だった。
だが、他に書きたいことが思いついてしまった。
というわけで、今回は『Korg GadgetとAbleton Live併用環境でのコード演奏』に関するちょっとしたTIPSを書くことにする。最終回はまた次回以降ということにしたい。
今日書くテーマは『Korg Gadgetに標準装備されているコード自動演奏機能を、Ableton Live上で使うにはどうすればいいのか?』ということである。
Korg Gadgetのコード演奏機能について
まずKorg Gadgetのコード演奏機能について軽く説明。
使い方は簡単。
- コードを鳴らしたいGadgetの左下にあるSCALEというボタンを押す。
- 出てくる白い枠の左上にあるChordというボタンを押す。
これによりGadget上の鍵盤を指で押すことでコードが鳴らされる。(iOS)
また、Korg Gadget for Macでは、鍵盤をマウスクリックか、文字入力用のキーボードを鍵盤として使うことで、コードを鳴らすことができる。
Korg Gadget for Macでは文字入力用のキーボードの下三段を鍵盤として使うことができる。
これにより、人差し指でコードを鳴らすことができ、MIDIキーボードを持っていない人でも気持ちいい作曲作業が可能になる。
ここで私事であるが、より快適な作業環境を求めてMIDIキーボードをMacに繋いだとき、私は大きな失望を味わった。
なんとMIDIキーボードでは、Korg Gadget for Macのコード演奏機能を使うことができないのである。
上で説明したコード入力機能をオンにした状態でMIDIキーボードを弾いても、なぜか単音しか鳴らない。
そういう仕様のようである。
まあ実際のところ、文字入力用のキーボードで、十分、コードは快適に入力できる。
だがせっかく目の前に立派なMIDIキーボードがあるのである。
これを使ってコードを入力できないのは隔靴掻痒の感があった。
どうしてもMIDIキーボードを使って、人差し指でコード入力をしてGadgetを鳴らしたい!
この欲求はAbleton Live+Korg Gadgetで叶えることができる。
Ableton Live+Korg Gadgetで人差し指コード入力をするには?
Korg Gadget for MacやWindows用のKorg Gadget plugin collectionには、GadgetをプラグインとしてDAW上で使う機能がある。
使い方は簡単だ。
Korg GadgetをPC/Mac上にインストール後、DAWを開けば、プラグインリストに各種Gadgetがあるのでそれをトラックに挿せばよい。
だがこのままではMIDIキーボードで人差し指コード入力をすることができない。
プラグインとしてのGadgetのコード機能をオンにしても、Korg Gadget上と同様に、DAW上でも、MIDIキーボードでは単音しか鳴らすことができない。
Gadgetのコード機能を使うには、Gadgetの鍵盤をマウスで押すしかない。
しかし大抵のDAWにはMIDIエフェクトでコードを鳴らす機能がある。
それを使えば念願のMIDIキーボード指一本奏法によるGadgetコード演奏が可能になるのだ!
以下、Ableton Live上での設定方法を説明します。
- コードを鳴らしたいGadgetを、左のブラウザーから選び、ダブルクリックするなり、MIDIトラックにドラッグ&ドロップするなりして、トラックにセットする。
- 左のブラウザーの『MIDIエフェクト』→『Chord』を、デバイスビューのPhoenixの左隣にドラッグ&ドロップする。
- ブラウザーの『MIDIエフェクト』→『Scale』から、その曲に使いたいスケールを選び、MIDIエフェクトの『Chord』の両隣に、ドラッグ&ドロップする。
- Chordの左にScaleを置くのは、MIDIキーボードから何が入力されてもスケールに適合したノートに変換ためである。
- Chordの右にScaleを置くのは、Chordから出力された全ノートをスケールに適合したものに変換するためである。
- 最後に、MIDIエフェクトのChordをこんな感じ(↓)に、適宜、適切にセッティングする。
Korg Gadget上でコード機能を使い、MIDIノートを録音してチェックしてみたところ、ドリアンスケールでは、ルート、+7、+16、+23が鳴らされていた。(ここでの+7とは、『ルートの半音7つ分上のノート』ということである。Cに対してはG)
よって、Ableton Live上で、Korg Gadgetのコード機能と同様に、ドリアン・スケールを鳴らしたい場合、MIDIエフェクト『Chord』のセッティングは上の画像のようにするといい。
また、このセッティングで、アイオニアンもOKなはず。
リディアンの場合は、Chordの左のMIDIエフェクト『Scale』で、FをF#に変換するようセッティングすると、Korg Gadgetと同様のコードが鳴るようになったはずだ。
だがその他、マイナー・スケールなどではより大きくChordのセッティングを変える必要があるようだ。。。(未調査)
必要に応じていろいろ試してみてください。
いい感じにセッティングできれば、Ableton Live上で、Korg Gadgetと同様のボイシングでコードを鳴らすことができるようになります。当然、MIDIキーボードでも文字入力キーボードでもなんでも使えます。
まとめ
MIDIエフェクトの『Scale』と『Chord』を使えば、Ableton Live上で、Korg Gadgetのコード機能と同様の機能を再現することができる。その際、Korg Gadget上では使えなかったMIDIキーボードを使うことができる。