前回の記事では、Korg Gadgetで作ったファイルをAbleton Liveにインポートし、そこで曲の構成を整え、音質を調整した。
その結果、この曲「ヘビヘビワンダーナイト」が完成した。
わびわび感のある素朴な曲である。
私的には凄い好きなのだが、いかんせん地味すぎるように思う。
今回は、この曲↑の構成をさらにアップデートし、音声サンプルを使って曲を派手にしていく作業を記事にしていきます。
曲の構成をアップデート
今のところこの曲は、Intro→BuildUp1→BuildUp2→Break→Drop→Outroという構成になっている。
イントロが始まり、Aメロのあとで一瞬静かになり(ブレイク)、その後で盛り上がってサビに入り、その後、速やかに終わるという構成だ。
つまりこの曲は1番しかないということになる。2番も作った方が、より盛り上がり、満足感も感じられる曲になる気がする。
というわけで2番のある曲へと構成を変更する。
前回やったのと同じように、Ableton Liveのアレンジメント・ビューにロケータを打ち、各ロケータに名前を付けて構成を作る。
ロケータを打つには、打ちたい場所をクリックしてから右上のSetというボタンを押せばいい。ロケータに名前を付けるには、ロケータをクリックして選択し、Command+Rを押せばいい。
このように、Intro→BuildUp1→BuildUp2→Break→Drop→BuildUp2a→BuildUp2b→Break→Drop→Outroというロケータを作ってみた。
1番のあと、ほぼ同じ構成の2番が繰り返される。
この構成に合わせて、各トラックのクリップをコピーして貼っていく。
サンプルを使って派手にする
2番を作り、それに合わせてクリップを貼っていったが、それだけでは地味な曲が長くなっただけだ。
この曲のシンプルな侘び寂び感は大事にしたいが、一方で派手さも必要である。
というわけで、派手さを演出する最も簡単な方法である、「サンプルのコピペ」という技を使って、曲を立派に、派手にしていきたい。
サンプルとは
サンプルとは、音楽の素材として使いやすいよう切り分けられた、音素材である。自力で作ってもいいが、それだと手間暇がかかる。それよりも、プロの業者が作ったサンプルを購入した方が良い。
私はよくここでサンプルを買っている。
今回は前もって買ってあったRetro Rideというサンプル集を使っていく。
ちなみに
このサンプル集は、私が書いた「ライト・ノベル」という小説のための自作サウンドトラック「Light-Novel Soundtrack」(BandCampにて販売中。買ってください!)の一曲目、Exploreにも使っている。
私的に心の琴線を揺さぶる音が多数入っている、良サンプル集である。
サンプル使用の実態
それにしても「サンプルを使う」とアッサリ書いているが、実はこれは私的には、ものすごい時間のかかる、苦労する工程である。
実際の使用法としては、Liveの左にあるブラウザからサンプルの入っているフォルダを選び、右のトラックにドラッグ&ドロップで貼り付けていくだけである。
しかしこの工程が実に時間がかかる。
なにせサンプルの数は事実上無限であり、その組み合わせも無限である。
サンプルを使って曲を作るのは、根気と直感が必要とされる作業なのである。
ちなみに下はDJシャドウのEndtroducingという、サンプリングの芸術と呼ばれたアルバムである。古いレコードからのサンプリングのみで作られている。
こう言ったアルバムを作るにあたり、どれだけの手間暇、根気が必要とされたのかを想像すると、ヤバイなと言わざるを得ない。
自分でメロディやリズムを打ち込んだ方がよっぽど簡単に曲を作ることができる。
だがサンプルを使うことで、自分の曲に、自分では出すことの出来ない豊かな質感を付加することができるのだ。だからぜひともサンプルは使っていきたい。
Korg Gadgetで外部サンプルは使えるのか?
そういえば、Korg Gadgetにも、一応、外部のサンプルを使う手段は用意されている。
このBilbaoというライトニング・サンプル・プレイヤーなるガジェットを使えば、外部サンプルをKorg Gadget上で使うことができる。
しかしだ。
やってみればわかるが、外部サンプルを使う作業はDAWを使った方がはるかに簡単にできる。
Korg Gadgetで外部サンプルを使うとしても、ちょっとしたワンポイント程度に抑えておいて、大々的にサンプルを曲に導入する作業はDAWメインでやった方がいいように思う。
せっかくKorg GadgetにはAbleton Live用のファイル書き出し機能があるので、これを有効活用すべきだろう。
Ableton Liveの機能制限版であるAbleton Live Liteならば、さまざまなDTM関連製品にバンドルされているし、Liteでもかなりのことが可能だ。お持ちの方はぜひ使ってみてください。
ひたすらサンプルを聴いて、選び、貼り付ける……
さて、サンプル貼り付け作業に戻る。
自曲を再生しながら、合うサンプルをブラウザで選んでいく。これは本当に途方に暮れる作業であり、途中、私は何度も投げ出しそうになった。
ちなみに当初、私はボーカルのサンプルを使い、このヘビヘビワンダーナイトを、歌モノの曲にしようと考えていた。
やっぱり曲を派手にするなら歌だ。
幸いなことに、前もって買っておいたボーカルサンプル集も手元にいくつかある。
というわけで、ボーカルサンプルを選んでヘビヘビ〜のトラックに貼り付けていく。
結果、英語の女性ボーカル曲ができてきた。
その英語の歌を訳すと以下のようになる。
「伸び上がれ、そして太陽を掴み取れ! そして下がれ! さあもう一回! 伸び上がれ、そして太陽を掴み取れ!」
イメージとしては蛇が天へと伸び上がり、太陽へとその鎌首を伸ばし、そしてまた地面に降りては、また上に伸び上がり、遥か遠い太陽を目指すという感じの歌である。
蛇、太陽、そして上昇と下降、そんな歌詞に何か象徴的な深い意味合いが感じ取れる、そんな曲になりそうな気配があった。
だが歌詞を入れることで、この曲のタイトルでありテーマでもあるヘビヘビ感がなくなってしまった。
なぜならヘビとは爬虫類であり、そもそも非言語的な存在だからである。
というわけで私はせっかく作ったボーカルトラックを泣く泣く削除した。作業はすべて振り出しに戻った。
そんな試行錯誤を繰り返すこと数日、やっとのことで曲の正しい方向性が定まってきた。
外部サンプルは主に、パーカッション的な賑やかしに使うことにした。
自作のリズムトラックにプラスして、外部サンプルによるクラッシュや、クラップや、リバースシンバルなどを重ねていくことで、賑やか感や気持ちいい感が大幅に倍増した。
いい感じだ!
だが本記事の冒頭で紹介した曲「ヘビヘビワンダーナイト」が、最終的に「ヘビヘビワンダーランド」という曲に生まれ変わって完成するまでには、まだまだいろんな作業が必要だった。
そのいろんな作業に関しては、また次の記事で書いていきたいと思います。今日はここまで。
とりあえず最後に「ヘビヘビワンダーランド」を下に貼っておきますので、ぜひお聴きください。
すでに聴いたことのある方も、せっかくなのでまた聴いてください。
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お願いします!