ヘビヘビワンダーランド製作記 その3

前回の記事では、Korg Gadgetで作ったファイルをAbleton Liveにインポートし、そこで曲の構成を整え、音質を調整した。

その結果、この曲「ヘビヘビワンダーナイト」が完成した。

わびわび感のある素朴な曲である。

私的には凄い好きなのだが、いかんせん地味すぎるように思う。

今回は、この曲↑の構成をさらにアップデートし、音声サンプルを使って曲を派手にしていく作業を記事にしていきます。

曲の構成をアップデート

今のところこの曲は、Intro→BuildUp1→BuildUp2→Break→Drop→Outroという構成になっている。

イントロが始まり、Aメロのあとで一瞬静かになり(ブレイク)、その後で盛り上がってサビに入り、その後、速やかに終わるという構成だ。

つまりこの曲は1番しかないということになる。2番も作った方が、より盛り上がり、満足感も感じられる曲になる気がする。

というわけで2番のある曲へと構成を変更する。

前回やったのと同じように、Ableton Liveのアレンジメント・ビューにロケータを打ち、各ロケータに名前を付けて構成を作る。

ロケータを打つには、打ちたい場所をクリックしてから右上のSetというボタンを押せばいい。ロケータに名前を付けるには、ロケータをクリックして選択し、Command+Rを押せばいい。

このように、Intro→BuildUp1→BuildUp2→Break→Drop→BuildUp2a→BuildUp2b→Break→Drop→Outroというロケータを作ってみた。

1番のあと、ほぼ同じ構成の2番が繰り返される。

この構成に合わせて、各トラックのクリップをコピーして貼っていく。

サンプルを使って派手にする

2番を作り、それに合わせてクリップを貼っていったが、それだけでは地味な曲が長くなっただけだ。

この曲のシンプルな侘び寂び感は大事にしたいが、一方で派手さも必要である。

というわけで、派手さを演出する最も簡単な方法である、「サンプルのコピペ」という技を使って、曲を立派に、派手にしていきたい。

サンプルとは

サンプルとは、音楽の素材として使いやすいよう切り分けられた、音素材である。自力で作ってもいいが、それだと手間暇がかかる。それよりも、プロの業者が作ったサンプルを購入した方が良い。

私はよくここでサンプルを買っている。

Function Loops

今回は前もって買ってあったRetro Rideというサンプル集を使っていく。


ちなみに

このサンプル集は、私が書いた「ライト・ノベル」という小説のための自作サウンドトラック「Light-Novel Soundtrack」(BandCampにて販売中。買ってください!)の一曲目、Exploreにも使っている。

私的に心の琴線を揺さぶる音が多数入っている、良サンプル集である。


サンプル使用の実態

それにしても「サンプルを使う」とアッサリ書いているが、実はこれは私的には、ものすごい時間のかかる、苦労する工程である。

実際の使用法としては、Liveの左にあるブラウザからサンプルの入っているフォルダを選び、右のトラックにドラッグ&ドロップで貼り付けていくだけである。

しかしこの工程が実に時間がかかる。

なにせサンプルの数は事実上無限であり、その組み合わせも無限である。

サンプルを使って曲を作るのは、根気と直感が必要とされる作業なのである。

ちなみに下はDJシャドウのEndtroducingという、サンプリングの芸術と呼ばれたアルバムである。古いレコードからのサンプリングのみで作られている。

こう言ったアルバムを作るにあたり、どれだけの手間暇、根気が必要とされたのかを想像すると、ヤバイなと言わざるを得ない。

自分でメロディやリズムを打ち込んだ方がよっぽど簡単に曲を作ることができる。

だがサンプルを使うことで、自分の曲に、自分では出すことの出来ない豊かな質感を付加することができるのだ。だからぜひともサンプルは使っていきたい。

Korg Gadgetで外部サンプルは使えるのか?

そういえば、Korg Gadgetにも、一応、外部のサンプルを使う手段は用意されている。

このBilbaoというライトニング・サンプル・プレイヤーなるガジェットを使えば、外部サンプルをKorg Gadget上で使うことができる。

しかしだ。

やってみればわかるが、外部サンプルを使う作業はDAWを使った方がはるかに簡単にできる。

Korg Gadgetで外部サンプルを使うとしても、ちょっとしたワンポイント程度に抑えておいて、大々的にサンプルを曲に導入する作業はDAWメインでやった方がいいように思う。

せっかくKorg GadgetにはAbleton Live用のファイル書き出し機能があるので、これを有効活用すべきだろう。

Ableton Liveの機能制限版であるAbleton Live Liteならば、さまざまなDTM関連製品にバンドルされているし、Liteでもかなりのことが可能だ。お持ちの方はぜひ使ってみてください。

ひたすらサンプルを聴いて、選び、貼り付ける……

さて、サンプル貼り付け作業に戻る。

自曲を再生しながら、合うサンプルをブラウザで選んでいく。これは本当に途方に暮れる作業であり、途中、私は何度も投げ出しそうになった。

ちなみに当初、私はボーカルのサンプルを使い、このヘビヘビワンダーナイトを、歌モノの曲にしようと考えていた。

やっぱり曲を派手にするなら歌だ。

幸いなことに、前もって買っておいたボーカルサンプル集も手元にいくつかある。

というわけで、ボーカルサンプルを選んでヘビヘビ〜のトラックに貼り付けていく。

結果、英語の女性ボーカル曲ができてきた。

その英語の歌を訳すと以下のようになる。

「伸び上がれ、そして太陽を掴み取れ! そして下がれ! さあもう一回! 伸び上がれ、そして太陽を掴み取れ!」

イメージとしては蛇が天へと伸び上がり、太陽へとその鎌首を伸ばし、そしてまた地面に降りては、また上に伸び上がり、遥か遠い太陽を目指すという感じの歌である。

蛇、太陽、そして上昇と下降、そんな歌詞に何か象徴的な深い意味合いが感じ取れる、そんな曲になりそうな気配があった。

だが歌詞を入れることで、この曲のタイトルでありテーマでもあるヘビヘビ感がなくなってしまった。

なぜならヘビとは爬虫類であり、そもそも非言語的な存在だからである。

というわけで私はせっかく作ったボーカルトラックを泣く泣く削除した。作業はすべて振り出しに戻った。

そんな試行錯誤を繰り返すこと数日、やっとのことで曲の正しい方向性が定まってきた。

外部サンプルは主に、パーカッション的な賑やかしに使うことにした。

自作のリズムトラックにプラスして、外部サンプルによるクラッシュや、クラップや、リバースシンバルなどを重ねていくことで、賑やか感や気持ちいい感が大幅に倍増した。

いい感じだ!

だが本記事の冒頭で紹介した曲「ヘビヘビワンダーナイト」が、最終的に「ヘビヘビワンダーランド」という曲に生まれ変わって完成するまでには、まだまだいろんな作業が必要だった。

そのいろんな作業に関しては、また次の記事で書いていきたいと思います。今日はここまで。

とりあえず最後に「ヘビヘビワンダーランド」を下に貼っておきますので、ぜひお聴きください。

すでに聴いたことのある方も、せっかくなのでまた聴いてください。

そしてぜひ「いいね」を付けたり、フォローしたりしてください。

お願いします!

ヘビヘビワンダーランド製作記 その2

この曲↑の制作記録、その2です。その1はこちら

前回の記事では、Korg Gadgetを使って、さくっと曲のコアとなる部分を作ったところまで書きました。今回はそれをAbleton LiveというDAW上で編集する話です。

Korg Gadgetで作った曲を、Ableton Live上で編集・調整する

エクスポート/インポート

Korg Gadgetの「エクスポート」から「Ableton Liveプロジェクト」を選び、iCloudドライブにAbleton Liveプロジェクトファイルを書き出します。

そしてMacのAbleton Liveでそのファイルをオープン。

するとこんな画面になります。

これはセッションビューと言いまして、この画面はKorg Gadgetのソングセクション、ミキサーセクションと同様の並び方になっています。

これ↑と一緒ですね。

使い方もだいたい同じようなものなので、Korg Gadget ユーザーは、Ableton Liveのセッションビューをすぐ使えるはずです。

アレンジメント・ビューへ

Ableton Liveにはセッションビューの他に、もう一つ、アレンジメントビューというものがあります。

セッションビューでは曲の部品、クリップが縦に並んでいます。この画面では各トラックのクリップを自由に再生して、様々な組み合わせを試すことができる場所です。セッションビューは、ミュージシャンのセッションのように、自由に音を鳴らし、アイデアを生み出すための場です。

一方、アレンジメントビューではクリップを横に並べて、左から右へと時間の流れを持った曲として厳密に構成していく場所です。

Korg Gadgetでは縦並びのソングセクションがLiveにおけるアレンジメントビューと同様の意味合いを持っていて、そこで曲を完成させることができます。

また、Korg Gadgetからインポートした曲のデータは、最初、Ableton Liveのセッションビューに縦に並んでいます。

ですがLiveでは、セッションビューに縦に並んでいるクリップを、アレンジメントビューの方に並べ直さなければ、曲として完成させることはできません。

よって、Korg GadgetからAbleton Liveへと曲データをインポートした際には、セッションビューから、アレンジメントビューへと、クリップを並べ直す作業をする必要があります。

アレンジメントビューにクリップを並べる

セッションビューに縦に並んでいるクリップを、アレンジメントビューに横に並べるには二通りの方法があります。

1つ目の方法は、アレンジメント録音ボタンを押し、セッションビューのシーン再生ボタンを上から順に押していくことです。それによりセッションビューのシーンを上から下までアレンジメントビューに録音していくことができます。

2つ目の方法は、セッションビューのクリップをコピーして、アレンジメントビューにペーストし、手作業で並べていくことです。

どちらの方法でもいいので、アレンジメントビューにクリップを並べていきます。

するとこんな感じになります。

これで、Korg Gadget上と同様の曲の並びをアレンジメントビューに作ることができました。

ロケータを使い曲の構成を作る

ここで、アレンジメントビュー上で、曲の構成を少しアップデートします。

Korg Gadget上では、イントロ、ビルドアップ、ドロップという構成でしたが、ドロップの前に、ブレイクという盛り上がりポイントを入れたいと思います。

ブレイクというのは、曲が一番盛り上がる前に、ドラムの音などが消える場所のことです。一番盛り上がる前でキックを抜いて、盛り上がるシーンが始まると共にまたキックを入れることで、盛り上がりを演出できます。

曲の構成を決める際は、アレンジメントビューに、ロケータ、というものを打ち込んでいくとわかりやすいです。

イントロからビルドアップ、ビルドアップからブレイク、とシーンが移り変わる地点に、目印としてロケータを打ち込んでおくと、ここでシーンが変わるな、というのがわかりやすくなり、また曲も作りやすくなります。

打ち込んだロケータには名前を付けておくと、さらにわかりやすくなります。

こんな感じ↓です。

三角マークがロケータで、その横に、左からIntro、BuildUp1、BuildUp2、Break、Drop、Outroと名前を付けてみました。

この工程は私的に、作曲作業を効率化する大事なものです。

「曲のこの地点は、こういう機能を持った場所」と、前もって決めて名前を付けてしまうことで、無駄に悩むことが減り、メリハリのある曲が作りやすくなります。

オートメーションを書く

次に、この構成に合わせて、クリップの並びを適宜、調整し、さらにブレイクをオートメーションで作ります。

というのも、新しくドラムを打ち込んだりするのが面倒だったので、音量調整やエフェクトの調整だけで、なんとかブレイクっぽいものを作りたかったからです。

こんな感じのオートメーションを書いてみました。ドラムはブレイクが始まるとだんだん音量が下がり、ドロップ直前でまた大きくなります。アルペジオとベースは、ブレイクが始まるとどんどんリバーブが深くなっていき、ドロップでまたもとに戻ります。

メインメロディにエフェクトをかけて面白くする

次は、メインメロディをもう少し面白くするために、フィルターをかけてみます。

メインメロディのシンセ、Brusselに、Ableton Liveの標準機能であるAuto Filterというエフェクトをインサートします。これはLFOによってフィルターのかかる周波数を自動で動かすことができるエフェクトなので、蛇のウニョウニョ動く感じを出すために最適です。いい感じになるよう、各種パラメータをいじります。

さらに、オートメーションを使って、ドロップの途中でこのフィルターがかかるようにします。

そして、曲の最後がフェードインするようにオートメーションを書いたら、曲の完成!

人工知能まかせでミックス/マスタリング

次はサクッとミックス/マスタリング作業をします。といっても、ほぼすべてプラグイン任せです。

適当にフェーダーを調整した上で、全トラックにiZotope Neutronを挿します。そしてトラックアシスタント機能を使って、各トラックの音質を調整します。AIが勝手にコンプレッサー、EQなどいい具合に調整してくれます。

これでミキシングが完成しました。

次に、マスタートラックに、Ableton Live標準のAnalog Tape Channel Stripというデバイスを挿します。これによってアナログテープっぽい雰囲気を醸し出します。

その上で、マスタートラックにiZotope Ozoneを指し、マスターアシスタント機能を使って、全体の音質を調整します。これによってマスタリングも完了。

できたー! 完成! あとは曲を書き出すだけです。

これ(iPhoneのKorg Gadgetのみで作ったトラック)↓が

こう↓なりました!

少しは洗練されて、メリハリが付き、聴きやすくなったのではないかと思います。

さて、次回の記事では、まだアイデアスケッチに留まっているこの曲↑を、さらにアップデートして、ひとつの曲として成立させる作業を書きたいと思います。


関連アイテム

真面目にミックスするのならこの本。

Ableton Liveについて詳しく知りたいならこの本。

Liveでの作曲について詳しく知りたいならこの本。

KorgのMidiコントローラーを買えばiZotope Ozone Elements($129相当)が付いてきます

「ヘビヘビワンダーランド」製作記 その1

昨夜、新曲が完成した。題して『ヘビヘビワンダーランド』

たくさんの蛇がうねうねと気持ちよく這いずりまわる神秘の楽園、あのヘビヘビワンダーランドを表現した曲である。

さっそくTwitterで公開したところ、Korg Gadgetユーザーの総本山、gadget-Junkies.net管理人のくらんけ氏より以下のレスポンスが。

ありがたい感想(いつもありがとうございます!)とともに、制作過程をブログにアップしてみてはという提言が。

面白そうであるし、自分の制作過程を文章にして客観視してみるのは、今後の音楽制作に役立ちそうである。

また、これからDTMや作曲を始めようという方や、Korg GadgetとAbleton Liveのような他のDAWを連携させて使おうという方の参考になる記事が書けるかもしれない。

というわけで、「ヘビヘビワンダーランド」制作記録を書いてみます!


この曲の成り立ち

まずこの曲がどういう変遷を経て今の形になったのかを簡単に説明させていただきます。

この曲は何度かのアップデートを経て、今の「ヘビヘビワンダーランド」という形になりました。

一番最初の形は、SoundCloud未アップロードのこれ↓です。

ヘビヘビワンダーナイト Primitive mix

(この時点で曲名は「〜ランド」ではなく「〜ナイト」)

非常に荒々しいが、その分、この曲のコアとなるアイデアがくっきり感じられる、原石のような曲である。

次に、Korg Gadgetのみで作ったこの曲を、Ableton LiveというDawに移し、そこで各種の調整とエフェクトを施し、出来上がったのがこれ↓である。

若干、聴きやすい音になり、展開にメリハリもついたが、この段階ではまだ曲のアイデアスケッチという感が強い。

ヘビヘビワンダーナイト Ableton Live mix

この曲↑を、さらに引き続きAbleton Liveを使って、一つの成立した曲となるまでこつこつとアップデートし、それに伴って曲名も内容にふさわしく変えたものが、一番上で紹介した「ヘビヘビワンダーランド」である。

私的には壮大かつキャッチーかつ深遠な曲に仕上がったと感じており、深く満足している。

ではこの「ヘビヘビワンダーランド」最終形態に至るまでの各作業工程を詳しく説明していきたい。


最初に、Korg Gadget上で曲のコアを作る

と言っても、そもそもこの曲を作るつもりはなかった。

ゴールデンウィークに友達の家に遊びに行って、そこで暇つぶしのためKorg Gadgetで一緒に作曲してみようということになり、そこで成り行き上、たまたま出来上がったものである。

だが、成り行き上たまたま出来たものとはいえ、何かしらの手順を踏んで作られたものに違いないから、その手順を思い出して書き出してみる。

1.使うGadgetを選ぶ。

友人との以下のような問答によって曲に使うGadgetを決めていった。

「ドラム用のGadgetがいくつかあるけど、どれにする?」

「こっちの青い方」

「シンセは、キレイで可愛いなやつ(Chiang Mai)か、気持ちいいやつ(Phoenix)か、力強いやつ(Brussel)か、どれがいい?」

「可愛いやつと、力強いやつ」

「ベースは渋いやつ(Dablin)と、怖いやつ(Miami)があって、どれがいい?」

「渋いやつ」

こうしてドラムにLondon、シンセにChaing MaiおよびBrussel、そしてベースにDublinを使うことが決まった。また、これだけだと味気ないので、特殊効果用にAmsterdamも使うことにした。

このように、使うGadgetをいくつか選ぶだけで、曲の基礎はなんとなく見えてくる。

Korg Gadgetの良さは、Gadgetを選ぶことから曲を作っていけることだ。

Korg Gadget上の音源であるGadgetは仮想的な楽器であり、イメージを掻き立てるグラフィックを持っている。そのため、Gadgetを選ぶだけで、なんとなく曲想が湧いてくる。

また、各GadgetにはKorg公式サイトにて、創作意欲を掻き立てる紹介文がついている。

Kiev
Advanced Spatial Digital Synthesizer

工場地帯に隠されていた秘密兵器とも言えるイエロー・ボディが特徴のシンセサイザー・ガジェットです。有機的でスペーシーなサウンドを合成する4つのオシレーターによる「ベクター・シンセシス」をフィーチャーし、空間をねじ曲げるような不思議な“ワープ”サウンドをタッチ・パッドで直感的にコントロールできます。

このKiev(上の画像の右下にある黄色いGadget)の紹介文など、「なんだかよくわからないが、凄そうなもの」という感がひしひしと伝わってくる名文である。

これら紹介文や、Gadgetのグラフィックを見て、なんとなく良さそうというGadgetを選び、それをトラックにインサートすることで、実際になんとなくいい曲を作ることができる。


私のおすすめGadget

ここでまったくの私見であるが、私のおすすめGadgetを紹介したい。

London(ロンドン)

使いやすいドラムマシン。気持ちいい音が沢山入っており、これを適当に鳴らすだけで立派なリズムトラックが完成する。

Chaing Mai (チェンマイ)

可愛らしい音がなる、可愛らしいGadget。

VPM(バリアブル・フェーズ・モジュレーション)シンセシスをフィーチャーしたポリフォニック・シンセサイザー・ガジェットです。

と公式サイトには紹介されている。このVPMシンセシスという何かの必殺技のような名前のものは、どうやらFM音源に似た何かのようであるが、難しいことは気にせず、プリセットから気に入った音を選んで鳴らせば良い。

 

Phoenix(フェニックス)

Prophet-5という有名なアナログシンセを模して作られたらしい、ヴァーチャルアナログ・シンセ。

Gadgetに内蔵されているコード機能をオンにして、適当な鍵盤を続けて押すだけで、感情を揺さぶる、心の琴線に触れる音が出る。

作曲を始めた当初、私はこのGadgetを起点として曲想を得ていた。

Korg Gadget Recommendsに選出された私の曲、Cosmic Autumn Festivalも、このPhenixのコード演奏を起点として作られたものである。

その他にもさまざまな心躍るGadgetが、Korg Gadgetには装備されている。

Mac版、iOS版、共に試用版があるので、気になる方は、まずはそれを使ってみるのもおすすめだ。

上で紹介したCosmic Autumn Festivalの原曲もKorg Gadget for Macの試用版で作ったものである。

ちなみに試用版を使う際、nanoPadやnanoKey等のKorg製MidiコントローラーをMacやiPhoneに繋ぐことで、使えるトラック数やGadgetの数の制限がいくつか解除される。

これらKorg製Midiコントローラーは安価であり、使い出がよく、しかもおまけとして多数の音源やサービスがバンドルされている。おすすめアイテムです。


2.リズムを打ち込む。

さて、使うGadgetを選んだら、次はリズムを打ち込もう!

いきなりメロディや、ベースを打ち込んでももちろんOKであるが、基準となるリズムがあった方がやりやすいのではないかと思います。

友人にiPhoneを渡し、適当にリズムを打ち込んでもらいました。友人はGadgetを初見だったのですが、非常にわかりやすいUIのため、すぐにそれらしいリズムができてきました。

私がキックを4つ打ちっぽく修正し、リズムトラック、完成です。

3.メロディ、ベースを打ち込む

また友人にiPhoneを渡し、適当にメロディを打ち込んでもらい、それを私が微調整する、という工程を繰り返して、メロディとベースを完成させました。

メインのサビのメロディは、Brusselのスケール機能をオンにして、Ionianスケールを選び、白鍵だけが表示されるようにし、さらに鍵盤を一オクターブのみ表示するようにした上で、iPhone上で鍵盤をなぞることでリアルタイム入力してもらいました。

こうすると狭いiPhone上でもメロディが弾きやすくなります。

また、この弾き方により、うねるような蛇っぽいメロディが完成しました。

ちなみにスケール機能とは、これを使うだけで、音楽理論など知らなくとも、どんな音を鳴らしてもスケールアウトすることがなく、ちゃんと曲に調和して聴こえる音が自動的に選択されて鳴らされるという機能です。超便利!

4.Amsterdamで効果音を付ける

Korg Gadgetで曲を作る場合、私はだいたい100%、このAmsterdamというGadgetを使います。

これは大量の効果音のサンプルを簡単に鳴らすことができるGadgetで、これを使えば曲にリッチさを手軽にプラスできます。適当にノリでプリセットを選び、適当に録音すればOK。

5.曲の構成を作る

次に、曲の構成を作ります。これまでの作業で、5つのトラックに、ループがひとつずつできたわけですが、これを縦に並べて曲にしていきます。

まずはイントロですね。イントロということで音は少なくして、ドラムだけにしましょう。

次にAメロ。クラブミュージックではビルドアップと呼ばれている部分です。これはイントロのドラムの上にに、ベースとアルペジオを重ねて作ります。

その次にいきなりサビ。クラブミュージックではドロップと呼ばれている部分です。いかんせん曲のパーツが少ないので、Aメロの次はもうサビに入ります。ドラム、ベース、アルペジオの上に、Brusselで作った蛇っぽいメロディを重ねます。

さらに要所要所で、Amsterdamで作った効果音を入れたり抜いたりして、完成!

6.曲名を考える

今回は友人と二人で作ったということで、曲名も相談して決めました。

ああでもないこうでもないと相談。。。

「ヘビヘビワンダーナイト」という案に至るまで紆余曲折ありました。

ですが、メロディの蛇っぽさや、その日の昼間、「はちゅカフェ」という爬虫類カフェに行き、そこで蛇を首に巻いてもらった体験などを加味し、最終的にヘビヘビワンダーナイトに決まりました。

曲名を付けてファイルを保存し、Wavを書き出し、Dropboxを使って友人と共有しました。

これにてKorg Gadgetを使った突発的な作曲セッションは終了です。

実作業時間は一時間弱と言ったところでしょうか。その成果物がこれ↓になります。もう一度お聞きください。

ヘビヘビワンダーナイト Primitive mix

あ〜楽しかった。やはり何かしらものを作る遊びというのは、達成感があり、非常に面白いものがあります。

今はNintendo SwitchでもKorg Gadgetをプレイできるそうです。ぜひKorg Gadgetでの音楽セッション、みなさんも楽しんでみてください。


さて、このようにしてKorg Gadget上で曲のコアを作ったわけですが。。。。

この次の工程は・・・

Gadgetで作った曲をAbleton Liveで開く

ですが、ここでブログ執筆の時間切れです。

今日はここまで。続きはまた明日。またね〜。

ルーティーンとヴィジョン

しばらく前に私の音楽ルーティーンという記事を書いた。

その中で月から日まで、音楽制作に関してのルーティーンを決めた。

そのルーティーンによれば、金、土は音楽制作の日だったので、先週の金土はしっかり音楽制作した。

日はフリータイムだったので、金土で完成させることができなかった曲の制作を続けた。おかげでその曲は99%完成した。

で、今日はなんの日だったっけ?

そうそう、音楽理論を学ぶ日だ。この本↓を打ち込み、コード進行を学ぶ日だ。

やるぞ~!

というわけで、今のところこのルーティーンは見事に機能している。

修正点があるとすれば、火曜は音楽ブログを更新する日にしようか。(リズム打ち込みは月曜にずらすことにして)

やっぱりですよ、音楽を作っても、アーティストとしての自分のページがないとあかんよね、と思います。自作を発表するページをきちんと作っておかないとダメじゃない?

で、そのページでは自作について一曲ずつ紹介していくとか、そういうことをするといいのかもしれないと思います。

あとあれだ、ヴィジョン、そろそろそれが必要だ!

ただ漠然とやってもしょうがない。この活動で何を実現したいのかというヴィジョン!

それを得るためにちょっと洞窟で瞑想してきたいと思います。それではまた。

(本記事のアイキャッチはPhotoVisionによるPixabayからの画像です)

5月25日発売のサウンド&レコーディング・マガジン7月号の「お部屋一刀両断」コーナーに滝本竜彦の部屋が掲載されています

私がDTMしている部屋がなんとDTMerの必修雑誌、サウンド&レコーディング紙の「お部屋一刀両断」コーナーに掲載されました。

まだ肌寒い4月の夜、編集者さま、ライターさま、カメラマンさまが、川崎のはずれ、ミッドガル風な工業地帯にほど近い場所にある我が家までやってきてくれました。

連載三百回記念ということで、本コーナー担当ライターの祐天寺浩美さんと一緒に写真を撮っていただきました。

少しずつ買い集め、本ブログでも紹介してきた各種機材が写ってます。私の最新小説、『ライト・ノベル』も宣伝になればと飾っています↑

取材では皆さまと楽しいお話ができ、今後のやる気がチャージされるような素敵なひと時を過ごせました。

サンレコの皆様、どうもありがとうございました。今後も毎号、楽しみにしています。

スーパーフードを求めて

クリエイティブかつ気持ちいい生活にはいいものを食うのが大事だ。

ではここで私が長年の自炊生活の中でたどり着いたスーパーフードについて紹介したい。

玄米

まずこの日本が誇るスーパーフードについて。

玄米。栄養価抜群。デトックス効果も感じる。体の中のやな感じのものを排出したいときなどに食べると体調が良くなる

だが玄米。それは地味で食べづらいやつ。炊くのに時間がかかるし、正直なところあまり美味しくない。

そこでこいつを効率良く食べるために一工夫してみよう。

必要なのはこのアイテム、ミルサーだ。

このミルサーに玄米を突っ込み、パウダー状に加工する。

そしてこの玄米パウダーを鍋で煮るのだ!

そうするとクリーミーな玄米粥ができあがる。

これは消化吸収に良く、なにより五分で完成するスーパーフードである。これに好きな調味料をかけて食べると美味しい。

オリーブオイル&トマトでイタリア風にして食べたり。

アマニ油&醤油&かつお節で和風オメガ3ブースト風味で食べたり。

食べ方は無限大、健康も無限大!

オートミール

次のスーパーフードはこれ。オートミールだ。

これの栄養価は凄まじいものがある。しかも食べやすさは究極レベルだ。お湯でさっと煮るだけで完成。値段も安い。好きな具材、調味料で食べると吉。甘くする食べ方は私は苦手です。

ブルグル

次のスーパーフードはこれ。ブルグルだ。

これは精白していない小麦の粒である。あらびきのものはモチモチとした食感が楽しめ、細粒のものはお湯をかけるだけで食べられるという利点がある。精白していないだけあって栄養は抜群、それでいて食べやすさもSSSクラスである。エスニックな調味料で食べよう。

チアシード

次のスーパーフードはこれだ。これは凄いよ、超凄い栄養がある食べ物だ。

水で戻して食感の面白い飲み物として食べる方法が一般的だが、オートミールなどと一緒に茹でて食べたり、スパゲッティソースなどに加えて食べることもできる。

とあるAmazonの少数民族の間で疲労回復と体力増強にすさまじい効果のあるスーパーフードとして古来珍重されてきたものである。そんなに高いものでもないので日々の食生活に容易に組み込むことが可能だ。

少数民族とチアシードの話はこの本に書いてあります。


その他、まだまだこの地球には私の知らないスーパーフードが眠っているに違いない。

どんどん取り入れて健康を爆発させていきたい。

ちなみにスーパーフードを取り入れるにあたり、注意点としては、どれだけ体にいいものであってもそればかり食べていると飽きが来るので、何種類ものスーパーフードをローテーションして食べるということだ。

この記事が皆様の健康的なクリエイティブライフの一助となれば幸いである。

私の音楽ルーティーン

前回の記事で、音楽制作と学習のルーティーンに関する話を書いた。

さっそく私用のルーティーンを考えたのでここにメモしておく。


月:音楽理論の日

当面は『クラブ・ミュージックのためのコード進行〜』を教科書とし、本の中に紹介されているコード、メロディ、ベースをDAWに打ち込んでいくという作業をしてみる。

本の中で2つ目に紹介されていたのがF Em Dm Cというコード。

F Em Dm Cというのはダイアトニック・コードという基本のコードだけを用いて作られたコード進行なので、なんの疑問もなく理解できたのですが、、、この次に紹介されていたコード進行がやばい。

FΔ Em7 A7(♭13) Dm7(9) F/G B♭/C G♭7(♭5)

なんじゃこりゃー!

3つ目でいきなり難易度アップ。

すみません、意味がわかりません。

解説によると、このコード進行はF Em Dm Cを、ドミナント・モーションを挟み込んで変化させたものとあります。

えーと、はあ、Dm7(9)の前にあるA7(♭13)は、Dm7のセカンダリー・ドミナントのA7に(♭13)ってのがついたやつで、、、? なんで♭(13)てのがついてるのかわからない。が、まあそれはいい。飾りみたいなものだろう、たぶん。

でもそのあとのF/G B♭/C G♭7(♭5)ってのが、ぜんぜんわからない。解説を読んでも脳が理解を拒否する。

というわけでこの本を読み進めることをしばらく諦めていたのですが、わからないことはとりあえずわからないまま、ただDAWに打ち込んで音を確かめて、機械的に前に進んでいくという方法で行きたいと思います。

わからないまま進んでいくうちに、私の脳が謎の進化を謎の要因によって起こし、それによってこのコード進行がいつか理解できるようになることを期待します。

火曜:リズム学習の日

当面は『DAWで学ぶリズム打ち込み入門』をDAWに黙々と打ち込んでいきたいと思います。打ち込んだクリップを保存しておいて、自分用のリズムのライブラリとして活用して行くといいのかなと思います。

水曜:受動学習の日

この日は仕事などで忙しいことが多いので、スキマ時間でiPhoneで音楽に関するビデオ、たとえばADSRのコースを観たり、何か音楽に関する本を読んだりする日にします。

また、なんとかDAWの前に座れたら、手持ちのサンプルを一つ一つ聴いて良さそうなものをブックマークしていったり、音源のプリセットをチェックしていったりするのもいいですね。

木曜:ミキシング・マスタリングの日

過去作のミックス、マスタリングをやり直す日。より良い音、サウンドデザインを追求する日。

金曜、土曜:音楽制作の日

できれば一曲完成させたい。

日曜:フリータイムの日


とりあえずこんな感じ。

これに加えて、毎日、Melodicsでフィンガードラムとキーボード弾きを5分+5分練習します。

あとあれだ、ギターとベースを5分ずつでも触りたい。

このルーティーンを繰り返すことで目標に近づいていけるはず!

とここで大きな問題に気づきました。

目標、それがよくわからない。

そもそも俺は何を目指して音楽をやってるんだー!?

という。。。

やっぱあれですよ、何事にもヴィジョンは必要。

ということで日曜は『フリータイム兼ヴィジョンを考える日』にします。

日曜は目標のヴィジョンを考えて手帳にメモし、少しずつ目標をアップデートしていく日にします。

また、それまでに達成した目標を振り返り、達成感を感じる日にします。


ということで立派なルーティーンができました。

やったー!

ADSRのコースで音楽制作を学ぶ

ADSRというループやプラグインを販売しているサイト(英語)の、オンライン学習コースを試用してみました。

Top 15 Mistakes Producers Make(プロデューサーが陥りがちな15の間違い)というビデオをとりあえず観てみたところ、面白かったので簡単に紹介します。

ビデオでは、以下のような内容が、プロデューサーが陥りがちなミスとして語られていました。(詳しくは実際にビデオをご覧ください)

  • 部屋の音響を軽視すること
  • 音楽制作と学習のルーティーンを作らないこと
  • ルーティーンを守りすぎること
  • 整理整頓しないこと
  • なんでも自分でやろうとすること
  • 非現実的な期待をすること
  • なんでも立派にやらねばと考えること
  • 考え過ぎること
  • 自分のリスナーについての不理解
  • 悪い趣味を持つこと
  • いたずらに流行を追い、見栄を張ること
  • 大音量でミックスすること
  • ステレオをワイドにしすぎること
  • ミックス時にトラックをソロにすること
  • ひとつのトラックでドラムをミックスすること
  • ひとつのコンプレッサーへとミキシングしないこと
  • 音楽アイテムを羨ましく思うこと

音楽制作と学習ルーティンの一例としては、以下のようなスケジュールが紹介されていました。

  • 月曜:音楽理論を学ぶ
  • 火曜:テクノロジーを学ぶ
  • 水曜:自分の弱点、たとえばドラムの打ち込みを学ぶ
  • 木曜:サウンドデザインを学ぶ
  • 金曜:音楽制作
  • 土曜:音楽制作
  • 日曜:自由休暇

このようなルーティーンを持つことで、創造性が格段にアップするとのことです。

他の音楽制作に関するHow toではあまり見たことが無い、自己啓発的、ライフハック的内容のビデオでした。上のルーティーンは、さっそく自分の生活に取り入れたくなりました。

他のビデオもいろいろ見てみたいと思います。

ADSRのオンライン学習コース、英語の勉強にもなり、暇つぶしにもなり一石二鳥のように思いました。


ちなみに日本語で書かれた音楽制作に関する自己啓発的な本としては石田ごうきさんのこの本が思い浮かびます。プロとして自分の好きなことでお金を稼ぐための具体的な方法や、心の持ち方について詳しく書かれています。

充電完了/異世界おじさん第15話

そこはかとなく精神力の充電が完了した気配がある。

HP/MP/SPともにいい感じになってきた。

春は花粉のせいもあり例年バランスを崩しやすい。来年の春はもっといい感じにしていきたい。

春だけ沖縄に移住するとか。前もってなんらかの手段で花粉症を完治しておくとか。

昨夜は新元号に切り替わる一時間ほど前にAbleton Liveを久々に立ち上げ、30分ほど音楽制作した。

元号チェンジ時には友達とカウントダウンジャンプした。

実家でもカウントダウンしているとの報がLINEで届いた。

そこはかとなくテンションが上った私は、深夜、久しぶりに自作の音楽アルバム『Light-Novel Soundtrack』を聴いて感動に打ち震えた。

なんという素晴らしい音楽。世界でこの私にしか作ることのできない感動と美がそこにあった。

もっともっと自分の中からかつて聴いたことのない曲を汲み出したい。そのためには少しでも作業を続けることだ。

一日30分でも作業を続けていけばいずれ自動的に新しい曲ができあがっていくだろう。


ところでついさっきのこと。

異世界おじさんの新しい話Comic Walkerに公開されていたので読んだ。

この話の魅力のひとつはおじさんのキャラにある。

おじさんは優しく人間的魅力に溢れている。

またおじさんは真の心の強さを持っている。

それがSEGAゲームによって養われたものだとしたら、私とてセガサターンやドリームキャストを持っていた者として、同様の強さをいくらか得ることができているのかもしれない。持っててよかったセガハード。

(サターンではガングリフォンやレイディアント・シルバーガンやナイツが好きでした。ドリームキャストで好きだったのは・・・あれ、記憶にない・・・?)

今回の15話では異世界に旅立った直後のおじさんが『力』に目覚めるシーンが描かれている。

この覚醒のシーンの美しさには深い感動があった。

次回の話ではいままでチラホラと語られるにとどまっていたツンデレエルフとおじさんの出会いが描かれるようで、今からワクワクして待っている。