She Came into Your Life
ボーカルのサンプルはFunction Loopsより購入。WavesのTuneによって、スケールに合わせてピッチを修正している。
スライスしてヴォイスパーカッション的に使ったり、二本のヴォーカルを重ねてメインの歌に使ったりしている。
本曲のスケールはCドリアン。ドリアンモードで作曲した。モード的作曲のための理論はこの本から学んだ。
音源はKorg Gadgetのプラグインコレクションを多用した。
ドラムはLondonを使い、キック×2、スネア、クローズハイハット、オープンハイハット、シンバル、それぞれにトラックを割り当て、それをグループトラックにまとめている。キックはそれぞれ周波数のピークの違う二種類のキックを使った。
各ドラムトラックにEQ8やコンプレッサーを挿して、それをグループにまとめたあと、WavesのH-Compをグループトラックに挿し、グルー的な意味合いでかけている。
ベースはKorg GadgetのCicagoを使い、Ableton LiveのMidiエフェクトであるRandomで30%ほどの確率で音程をランダムに鳴るようにした。ランダムにしただけだとスケールアウトするかもしれないので、その後にMidiエフェクトのScaleを挿して、どの音もドリアン・スケール内に収まるようにした。
本来はランダム化されたMidiを録音してそれを厳選するという工程を経てクオリティアップさせるべきであるが、ここで気力切れ&不完全さもまた良しということで、今回はここまでで作業終了。
コードバッキングはCasioのミニキーボード、SA-46のエレクトリック・ピアノを録音して使った。録音した音にAbleton Live内で各種エフェクトをかけるといい感じになった。
シンセのアルペジオはKorg GadgetのLisbonとBerlinを重ねたもので作った。
シンセのメインフレーズはLisbonを、Bossのコーラスのコンパクト・エフェクター、CH-1に通して録音したものを使った。
その他の音源として、ライズ音専門シンセであるAir Music TechnologyのThe Riserをライズ音ではなく、フォール音(上がる音ではなくヒューンって下がってくる音)のために使った。
今回の作曲の目的
Ableton Liveの各種操作に慣れること。
何かしらの実機の音を使うこと。
モード的作曲法によって作曲すること。
ひとつのシンプルなメロディを展開させて使うこと。
キック、ベースのEQに気を使うこと。などなど。
今回の学び
- 周波数、EQ、ミックスに対する感性は少し身について来たように感じる。
- 作曲の最後の工程で、EQ3というDJ的なシンプルなイコライザーで、Midiコントローラーのつまみを動かしながらドラムトラックにEQをかけて録音してみたのだが、これが今回の曲にピッタリはまって非常に気持ちいいものになっている。
- いつまでもセッション・ビューで作業しているといつまでも曲が見えてこない。ベース、ドラム、メロディの気持ちいいワンフレーズが出てきたら、もうアレンジメントビューの作業に移ってしまっていいのかもしれない。
- アレンジメントビューでは、とりあえず展開をざっと作って、ロケートポイントを打って名前をつけてしまうと作業が捗るようだ。
- とりあえず音を収める箱を幾つか作って、時間に沿って並べてしまうということ。しかもそれに名前をつけることで作業が前進する足がかりとなる。今回のようなコードやメロディでの展開が無い曲でも、そういった足がかりがあれば曲として完成させることができる。
- ベースをRandomで鳴らした時、ハッとするかっこいい音が鳴るときがあった。今までMidiをRandom再生したときは、毎回、「良いフレーズが鳴りますように」と神に祈りながら曲全体を書き出していたのだが、これからはランダム再生のMidiトラックを別のMidiトラックに録音して、いい感じのフレーズを厳選、切り貼りするという手法を使ってみたい。
- 実機のエフェクターや音源を少しでも曲に盛り込むと、なんとなく満足感があがり、曲のいい感じポイントが高まる気がする。
総評
今回の作曲はひたすら時間がかかった。1月にファイルを作ってから3月半ばまでかかっている。原因はというと、今までになくメロディの無い曲であるため、何をどう曲としてまとめたらいいかわからなかったというのがある。
しかしアレンジメントビューで構成を練るということや、各種エフェクト等の細かい差異によって展開を作っていくという考えを学んだので、それによってこの曲を完成させることができた。
Ableton Liveの使い方もだいたい分かった。右も左もわからなかったものだが、人間、進歩するものである。
曲の内容も、私的にはとても大好きな曲になっている。
前からベースを打ち込むのが苦手で、よくアルペジエーターにベースを一任したりしているのだが、今回はさらにRandom化させることでかっこいいベースが得られることがあるとわかった。この方向性はもう少し追求してみたい。
次はどんな曲をつくろうか。今回のようなモード的な曲も気持ちいいが、次は普通のコード進行があって歌詞があって、ギターとベースを自分で弾いたようなやつとかどうかな。作曲理論を勉強などしつつ。