昨日は人前に出る仕事をしたので、今日は大自然を前にしての安らぎタイムが欲しかった。
だが人間は大自然を前にすると暇を持て余し、間が持たなくなるという性質を持っている。その間を持たせ、大自然と人間が適度な距離感で戯れるために、釣りというアクティビティが存在している。
私は少しずつ買い揃えた釣り道具を持って家を出て、すぐそこのバス停から浮島つり園に向かった。バス車内で瞑想しているとすぐに大自然的な場所に着いた。
とりあえず私は堤防のなかほどに道具を広げ、釣りの準備を始めた。
上下反転機能がついた高機能水汲みバケツを海面に投げ入れ、海水を汲む。満潮時なのか、先日訪れたときよりも海面は高い。手を伸ばせば届きそうだ。
組み上げた海水を、冷凍ペットボトル入りのクーラーボックスに入れて冷水を作る。ボブルビーのハードシェル・バッグを思わせるデザインのクーラーボックスは超小型タイプなので、持ち運びが楽である。移動はバスや電車や自転車なので、小型軽量であることは最優先事項であった。
クーラーボックスのセットを終えた私は愛用の釣り竿『覇王』を伸ばし、仕掛けをセットした。
私のこれまでの三度の釣りでは一匹も魚を釣ることができなかった。そこで今回は、初心者向けでも簡単に釣ることができる『サビキ釣り』という仕掛けを使って釣りをすることにした。
サビキ釣りとは、アミエビの入った籠と針を一緒に水に沈め、籠から少しずつ水中にばら撒かれるアミエビに釣られてよってきた魚が、アミエビと間違えて針を飲み込んでしまったところを釣り上げるというシステムの釣りである。
アミエビは『アミ姫』というパックを使う。これはフルーツ系の爽やかな香りがするアミエビが、手を汚さずに使うことのできるパックに詰められた商品である。嫌なにおいがせず、パックを握るだけで簡単に籠にアミエビをセットできる。釣りというアクティビティからできるだけ不快な部分を取り除きたいユーザーにオススメの一品だ。
そんなこんなですべてのセッティングを終えた私は、アミエビの籠がぶら下がった釣り竿を慎重に海に垂れた。
サビキ釣りは、魚が大好きな餌であるアミエビを水中に大量にばらまくため、魚がどんどん寄って来て、どんなバカでもほいほいと簡単に何匹でも魚を釣り上げることができると各種の釣りサイトには書かれていた。
だがこれまで三度の釣りで一度も成果を出すことのできなかった私だ。きっと私は魚を遠ざけるオーラを出しているのだろう。そんな私がいくらサビキを使ったからと言って、そんな簡単に釣れるわけが……。
えっ、待って、なにこれ?
なんかビクビクしてる!
こ、これって、もしかして……。
さ、さ、魚だー!
もう一匹!
さらにもう一匹!
家に帰って、三枚におろして天ぷら粉をつけて油で揚げて、いただきました。
初めて自分で釣った魚は感動のおいしさでした。
うまさが心に沁みる。。。!
文中に登場したアイテム一覧