Cosmic Autumn Festival

とある冬の夜のこと。

海猫沢めろんさんにアナログゲーム大会に誘われた私は、会場であるめろんさん宅に向かった。

めろんさん宅は真っ暗で誰もいなかった。しばらくして外から帰ってきたきためろんさんは「間違えた。ゲーム大会は明日だった。今日はこれから高田馬場に行く」と言った。

小説家でありYouTuberであるめろんさんは、RAMCLEARというゲーム創作集団でアナログゲームも作っている。

めろんさんとRAMCLEARのもう一人のメンバーであるツムキ・キョウ氏は、RAMCLEARの新作アナログゲーム『ヘルトウクン』の宣伝に関する打ち合わせのため、これから高田馬場のゲームセンター・ミカドに行くとのことだった。なんとなく私も同行することになった。まもなく高田馬場に着いた。

RAMCLEARの二人を追ってゲームセンターのスタッフルームに入ると、中にはミカドの代表の方と、大塚ギチさんがいた。私は驚いた。

大塚ギチさんと言えば舞台化もされた伝説的ゲーム文学、TOKYOHEADの著者であり、私の初期作品のデザインをしてくださったデザイナーである。
ともすれば暗い重いオーラを発しがちな私の作品に、ポップなメジャー感が付与されたのはギチさんのデザインのおかげである。

ギチさんとお会いするのはずいぶん久しぶりだったが、前に見たときと同じようにおしゃれでかっこよかった。

その夜の帰り道、高田馬場の改札前で私は高石宏輔さんと出会った。高石さんと面識のあっためろんさんが、偶然に通りかかった彼を見つけて声をかけたのである。

高石さんは「声をかける」という、コミュニケーションをテーマにした本の著者である。その本には彼の経験が格調高い精緻な筆致で描かれている。それは暗い深海の底に耐圧カメラが降りていき、通常では見ることのできない闇の奥をくっきりと映し出し、読者の眼前に届けてくれるような本である。高石さんとお会いするのは初めてだったが、彼のことは前々から風の噂に聞いていて、問題意識の持ち方やそれに関するアプローチの方法などに、そこはかとない親近感を感じていた。またミカドのスタッフルームでも、高石さんの名前が皆の会話の中に出てきたばかりであった。

謎のシンクロニシティが生じつつあるのを感じた私は、その流れに乗ろうとして電車の中で高石さんをゲーム大会に誘った。翌日、めろんさん宅で行われたゲーム大会で私は高石さんや他の大勢の参加者たちと、ゲーム『ヘルトウクン』で対戦した。

その大会で私は優勝し、記念品としてヘルトウクンをゲットした。

数週間後、めろんさんと高石さんと私は、渋谷のDOMMUNEでコミュニケーションに関するトークライブをしていた。

私はその放送中、最近作っている自作の音楽、その中でも特に気に入っている、『Cosmic Autumn Festival(邦題:銀河の秋祭り)』という曲を、トークの合間にかけた。DOMMUNEの素晴らしい再生設備から響く解像度の高いキックの周波数が私の心と体を震わせた。

この曲は、とある山村のお祭り広場に宇宙船が降りてきて、地元民と宇宙人が皆でパーティをするというコンセプトのダンスミュージックである。

DOMMUNEは大好きな音楽家である小室哲哉氏がライブをした空間であり、多くの先進的なミュージシャンやDJが日々、最高の音楽をプレイしている場だ。そこで自作のダンスミュージックを再生できた私は、『クラブ的な場で自作曲をかける』というつい先日願ったばかりの夢が速やかに叶ったことを知った。

大勢のリスナーの前で、自作の音楽をかけつつ、コミュニケーションについてのトークを行った。トークの合間には高石さんの催眠セッションが行われ、そのあとで私も誘導瞑想セッションを行った。(瞑想は私が新作小説を書くために身に着けたスキルのひとつである。それに関するコンテンツは今後もこちらのホームページにアップしていくつもりである)

嬉しいことやわくわくすることが凝縮された、夢のような一連の流れであった。この意味深い夢のような新鮮な感覚を、小説を通して表現していきたい。