『パンツあたためますか?』

昨年のこと。

ここ数年間、淡々と作業を続けて、なんとか形になってきた長編小説の最終章を、駅前のスターバックスで書いていると、手元のiPhoneに一通のメールが。

それは『スニーカー大賞優秀賞を受賞した『パンツあたためますか?』という作品の推薦コメントを書いてほしい』というスニーカー編集部からの依頼でした。

なんと受賞者の石山雄規氏が滝本竜彦の作品を好きだとのことで、それで私に依頼が来たようです。

『とうとう俺もレジェンダリーな作家としてフォロアーを生み出しつつあるのか』と自らのエゴを危険なレベルに肥大化させつつ、ハルヒ等のレジェンダリーな作品を多く生み出したスニーカー大賞の受賞作にコメントを書ける嬉しさに会心の笑みを浮かべつつ、私はふたつ返事で依頼を引き受けました。


で、さっそく、メールで送っていただいた『パンツあたためますか?』の素晴らしい部分、輝いてる部分を調査し、それを私のキャッチコピー製造能力によって推薦コメントへと出力する作業を始めたわけですが、さすが受賞作だけあって才気に溢れており、おすすめしたいことが多すぎてなかなかひとつのコメントにまとまりません。仕方ないので思いついたコメントを全部箇条書きにしてスニーカー編集部に送りました。

後日、スニーカー編集部から送られてきた販促POPがこれです。

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つい箇条書きで送ってしまった推薦コメントの情報量の多さを活かしたデザイン、とても格好いいです。イラストも魅力的です。思わず手にとって本を買いたくなるPOPです。Great!!


POPの補足

上のPOPのコメントには「『NHKにようこそ!』ファンにおすすめ」とありますが、『ムーの少年』(Amazon)の読者にもぜひおすすめしたい作品です。本作の主人公は公園で謎の小学生に会うのですが、そのくだりに『ムーの少年』からサンプリングされたエピソードがうまく使われています。

ちなみに私は趣味で音楽制作をしているのですが、その際、サンプルセットなどというものをよく購入します。例えば、『80年台ミュージックのサンプルセット』には、その時代の代表的な音色のシンセやドラムのサンプルループ(音楽の部品)が詰まっていて、それを使って曲を作ることにより、80年台な雰囲気を自作に取り込むことができます。そういったテクスチャーの部分の用意をサンプルセットに任せることで、クリエイターは自分の創造性を、より大切なことに向けることができるというわけです。

『パンツ〜』はまさに『滝本竜彦サンプルセット』を使って作られた小説のようで、滝本作品の雰囲気が好きな人は大いに楽しんで読める作品であると感じました。

一方で作者独自の切れ味のある、要所要所で鋭く笑わせてくる文章表現も読んでいてすごく気持ちいいものがあり、とても魅力的です。

そういったテクスチャーと語り口を使って、想像よりもずっと真面目で重い現代的テーマについて正面から取り組んでいる作品、それが『パンツあたためますか?』でした。


こんな人におすすめ

  • 滝本作品の雰囲気が好きな人
  • 上のPOPを見てピンと来るものを感じた人
  • 可愛いイラストのラノベが好きな人
  • 切れ味のあるテキストを読みたい人
  • 重いラノベが読みたい人

パンツあたためますか?(Amazon)